top_rogo.gif (16396 bytes)

〈みんなの健康Q&A〉 高血圧を予防、改善する生活習慣

 Q:まわりに高血圧で通院している人がたくさんいます。

 A:生活習慣病の代表的な疾患である高血圧は、高齢化社会をむかえて、医療機関を受診する患者の中でもっとも頻度が高いと推測されます。いまだに原因が不明なものを本態性高血圧といい、高血圧の90〜95%を占めます。年齢、基礎疾患の有無によって多少異なりますが、だいたい上の収縮期血圧140以上、下の拡張期血圧90以上だと「血圧が高いですよ」と言われますので、目安にしてください。

 Q:血圧が高いと何が問題になるのですか。

 A:血圧が高いからといってすぐに体の具合が悪くなるということは通常はありません。しかし高血圧をほうっておくと、脳卒中、認知機能障害、虚血性心疾患、心不全、腎不全、目の網膜症、大動脈、末梢動脈疾患などの標的臓器障害が発症します。

 Q:血圧が高くならないよう日常、気をつけねばならないことについて教えてください。

 A:高血圧発症には遺伝もありますが、環境要因の関与も大きいので、悪い生活習慣を正すことにより原因を除去ないしは軽減することがかなりできます。

 Q:よく塩辛い食べ物を控えましょうといいますが、本当ですか。

 A:食塩過剰摂取によって血圧が上昇することは古くから知られています。食塩を一日に3グラム以上摂取すると、摂取量と血圧値は緩徐ながら直線的な相関関係を示します。食塩摂取量の比較的多い先進国の今日の飲食事情からすると、栄養学的に偏らずに厳しい減塩を守ることはとても困難です。そこで、さまざまな検討のすえ、臨床的には一日6グラム未満の減塩食が推奨されています。食塩摂取量増加の原因として加工食品が大きな位置を占めているので、気をつけてください。

 Q:食品の種類ではどのようなものがおすすめですか。

 A:野菜、果物の積極的摂取とコレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限が血圧に良いと報告されています。野菜、果物はカリウム、マグネシウムおよび食物繊維の多い食品です。また、卵類や動物性脂肪を控え、乳製品は低脂肪のものを選びましょう。こういった食事の注意点や減塩食の工夫などは、病院で専門の栄養士から指導を受けることをおすすめします。

 Q:肥満はもちろんいけませんよね。

 A:肥満は高血圧の重大な危険因子であるのみでなく、高血糖、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症を惹起し、いわゆるメタボリックシンドロームへと導きます。体重減少による血圧降下作用はすでに証明されており、4〜5キログラム減量で有意の降圧をきたすことが知られています。肥満の是正、適正体重の維持が高血圧予防には不可欠です。

 Q:では、運動療法も必要になってきますね。

 A:その通りです。身体活動の程度が大きいほど肥満になりにくく、血圧が低く安定しやすいことは容易に理解できます。運動するにあたっては、急激な運動ではなく有酸素運動が基本で、ある程度の動的な等張性運動、たとえば早歩き、ゆっくり疾走、水中歩行などを一日30分以上、できるだけ毎日定期的に行うのが理想的です。ふだんから階段やバス、電車を利用し、よく歩くように心がけましょう。

 Q:お酒は飲んでもかまいませんか。

 A:長期の飲酒習慣は高血圧の原因になるといわれています。飲酒は楽しく、ほどほどにし、塩分の多いつまみは控えてください。

 Q:タバコの血圧への影響はいかがなものですか。

 A:喫煙は一過性の血圧上昇をきたしますが、慢性的には高血圧をきたすことはないと考えられています。しかし、喫煙により降圧剤の効き目が鈍ることがあります。そんなことよりも、喫煙自体が心臓病や脳卒中の危険因子であることはすでに知られていますし、高血圧患者ではさらに危険度が増すので禁煙すべきです。

 Q:そのほかに注意しなければならないことはどんなことですか。

 A:ストレス、睡眠不足および便秘は血圧を上げる要因になります。また、冬季には寒冷により血圧が不安定になりやすいので、高血圧の方は防寒、暖房に配慮してください。入浴は熱すぎないようにし、冷水浴や長時間サウナは避けたほうがいいでしょう。

 Q:高血圧を予防、改善するには、日常生活の心がけが重要であることがよくわかりました。

 A:最近の研究報告によれば、減塩、減量、運動、節酒といった生活習慣の修正に加えて食事療法を組み合わせるとより顕著な降圧を認めるそうです。生活習慣修正は自分の生活様式に合わせて、うまく複合的に行うとよりいっそう効果的になります。

(金秀樹院長、医協東日本本部会長、あさひ病院内科、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2007.10.3]