〈朝鮮と日本の詩人-38-〉 梅田悦子 |
非道詫びる深い自省の念 欅の木茂れる庭の蝉しぐれ安重根に降りそそぐ夏 拷問を加える日本兵の顔ふつうの顔しているのが悲しい 右の8首の短歌は、梅田悦子が1997年の夏に韓国を訪問した際に、「安重根記念館」と「独立記念館」を参観したときにつくられたものである。 初めの2首には安重根義士に対する敬意と哀悼の心情がこもっている。 独立記念館での感懷は、6首とも、日本人の一人として朝鮮に対して犯した非道の罪を深く詫びる自省の念が波立っている。また「「日本語を話す―」という1首は、未だに植民地化を善事とし、「慰安婦」問題で責任をとらず独島の領有を主張する日本に対する怒りの「視線」であることを歌人が悟ったことをモチーフとしている。 梅田悦子は1944年に横須賀で生まれ、99年に30年ほど勤めた小学校教員を退職した。 97年から短歌を詠み始め、近藤芳美のカルチャーを受講して、朝日新聞、神奈川新聞や、短歌総合誌「短歌」と「短歌研究」に自作を多く発表して注目された。朝日歌壇賞、神奈川歌壇年間賞を受賞しており、「従軍慰安婦」をテーマにした作品もかなりある。歌集「ヨコスカ−戦争が見える」(04年 ながらみ書房)に収められている。(卞宰洙、文芸評論家) [朝鮮新報 2007.10.15] |