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〈本の紹介〉 戦乱三国のコリア史−高句麗・百済・新羅の英雄たち−

血わき肉おどる英雄

 「李朝滅亡」の作者による歴史物語。朝鮮三国時代の英雄たちを、中国、日本との関係史までとらえながらクローズアップさせている。

 歴史の舞台はいまから1千数百年前にさかのぼる。隋の高句麗侵略、乙支文徳将軍の大活躍、さらに唐による高句麗侵略と莫離支(高句麗の最高官職)・淵蓋蘇文による反撃など朝鮮民族にとって血わき肉おどる伝説的英雄の姿が活写されている。

 もちろん、作者の想像力を生かした多少のフィクションもありそうだが、読者にとってはそれがかえっておもしろい。

 また、これまであまり高句麗史の中では語られてこなかった唐軍と高句麗・安市城の大激戦を指揮した楊萬春将軍の知略あふれる戦術と戦いぶりが詳述されているのも本書の魅力の一つ。

 現在南で放映中の渤海建国を描いた歴史ドラマ「大祚栄」でも、楊萬春将軍の指揮ぶりは話題をさらっていた。

 生き生きと描かれている歴史の英雄たち。日本人はもちろん在日同胞の目にもふれられることすらなかったそのエピソードは、私たちの心を熱く引きつけて離さないだろう。(片野次雄著、彩流社、1800円+税、TEL 03・3234・5931)(粉)

[朝鮮新報 2007.10.22]