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在日朝鮮学生中央芸術コンクール 審査委員講評

民族の誇りを込めて

 朝鮮民主主義人民共和国創建59周年記念第40回在日朝鮮学生中央芸術コンクールが1〜2日、大阪朝鮮文化会館および周辺文化施設で行われた。日本各地から1379人が参加する中、高級部の生徒らが声楽、民族器楽、洋楽器、舞踊の4部門ごとに、日頃のクラブ活動で練磨した成果を競い合った。以下、各部門別の審査委員講評を紹介する。

−声楽部門 澄んだ声で感情を表現

群舞「代を継ぎ花開く」(東京中高)

 生徒らの生活を描いた作品が多かった。曲の表現にリアリティがあり、感銘深い演奏が多かった。とくに高級部の合唱部門と中級部および高級部のカヤグム並唱部門の水準が高かった。また、四国初中の女声重唱、下関初中のカヤグム並唱など生徒数が少ない学校もレベルの高い演奏をした。これは、厳しい条件の中でもきちんと目標を立て、練習に懸命に取り組めばよい結果を得られるということを示している。今回、表現や発声で人為的な不自然さが克服され、柔らかく澄んだ声で感情を表現した演奏が目立った。

 今後の課題は、楽曲に合った速度を正確につかむこと、息継ぎを守ること、発音に気をつけることなどである。また、アンサンブルでは、ほかのパートとのバランス、共鳴と呼吸との連関に注意し、音程を正確に取ることが挙げられる。

−民族器楽部門 特色ある演目で

カヤグム並唱「統一トンドルラリ」(下関初中)

 独奏と重奏部門に多くの学校が意欲的に参加した。とくに、それぞれ異なる楽器を用いて独奏部門に出演し、日頃の練習成果を発揮していた。中級部の独奏部門では、高い水準で作品内容を十分に表現した。

 また中級部、高級部を問わず、重奏部門に近年では最も多くの学校が参加した。重奏のみならず、同じ楽器で参加したことが特徴的だ。

 今後の課題点は、作品形象において楽曲の基本思想、基本演奏内容などを、しっかりと活かすことである。とくにオーバーな演奏や解釈のずれた演奏をしないように気をつけなければならない。

合唱「わが母、わが祖国」(愛知中高)

 打楽器部門では、学校ごとに特色ある演目で参加した。とくに四日市初中の重奏は、チャンダンの特徴を活かしながらの作品となった。また、群馬初中の重奏も民族的情緒あふれるすばらしい演奏だった。愛知中高・高級部の重奏は、民族リズムの特性がきちんと活かされた演奏だった。

 今後、演奏時間を厳守し、創作曲は民族基本チャンダンを基に作ることが課題とされる。

−洋楽器部門 編成の特性を活かし

洋楽器合奏「千里馬が走る」(京都中高)

 総502人と音楽部門の中では、最多数の生徒が参加した。中級部の合奏部門では、下関初中と宇部初中の合同演奏が14人という少人数にもかかわらず、観覧者と審査委員らを感服させた。重奏部門でも、少人数の編成の特性を活かした才能あふれる演奏が多かった。

 これから合奏部門では、基礎をしっかりと固め、調和した音色を模索しながら、自由曲の選択に注意を払う必要がある。生徒らの実力を十分に発揮できる世界の名作、創作曲の場合も、研究と検証がしっかりなされた曲を選ばなければならない。とくに比較的水準の高い学校は、この点をしっかりと考慮すること。独奏部門では、基本旋律をきちんと演奏するように。独奏曲は変奏形式が多いが、まず原曲の基本旋律を魅力的にきちんと演奏をすることに重点を置く必要がある。

−舞踊部門 生活と感情に合った作品

群舞「こいしい祖国へ」(西東京第1初中)

 中級部の水準が全般的に高くなったと評価できる。時代と環境、とくに中級部の生徒の生活と、感情、情緒に合った作品がみごとに表現されていた。今年は、20の群舞作品すべてが内容も水準もすばらしかった。芸術的技量もとても高まった。高級部でも、学校ごとに格差がなくなってきた。

 今後の課題は、朝鮮舞踊で最も重要な姿勢をしっかりと保つことだ。体の中心軸を真っ直ぐ立てられず乱雑に踊る傾向が目立つ。とくに、朝鮮舞踊の柔らかく繊細な律動性と、情緒とチャンダン性に欠け、固有な呼吸と情緒を活かせていない。また、既成作品に対する把握と正確性が足りない。原作をしっかり研究し、表現できるように努力すべきだ。(写真=盧琴順記者、優秀作品発表公演第1部より)

[朝鮮新報 2007.11.9]