top_rogo.gif (16396 bytes)

盧相鉉ピアノリサイタル批評 「民族的な節回しやリズム」

 7月27日に兵庫県立芸術文化センター小ホールで開かれた「盧相鉉ピアノリサイタル」の批評が、ピアノ専門誌「ムジカノーヴァ」10月号に掲載された。以下、全文を紹介する。

 盧相鉉が朝鮮大学校教育学部で教べんを執って、40年目の記念演奏会。ショパンの「夜想曲」作品9の2以外は、自作を含めて朝鮮の歌曲や風景と結びついた作品が並ぶ。

 自作の「鯉明水の朝」と「ピアノのための散調」、歌曲にもとづくコ・スヨン「星はいずこ」など、親しみやすい旋律をヴィルトゥオーソ風に盛り上げる作品が多く選ばれたのは、奏者自身が楽器をたっぷり響かせるのを好むからだと思う。力強くリズムを刻み、かなり厚手の響きだが、メロディーをしっかり捉えて、音に気持ちが乗っているので、聴く側が押し切られてしまう。民族のアイデンティティを大切にするという生やさしいことではなく、日々の思いすべてを楽器に託すような生き方をしてこなければ、おそらくこれほど確信に満ちた音は出せないだろう。

 「子供の情景」を思わせるチョ・ギルソクの「子供のための組曲」から、モダンで新古典主義風の「子供のための3題」(在日朝鮮、韓国人学生のためのピアノコンクール課題曲集)まで、作品のスタイルには幅があるが、こうした小品においても、民族的な節回しやリズムがくっきりと浮かび上がった。(白石知雄)

[朝鮮新報 2007.12.3]