〈本の紹介〉 女性ムン・ソリ 韓国映画の魅力を語る |
多様な「女性像」演じたい 「輝く最強の演技派」「存在自体が同時代の風景そのものになる女優さん」(徐勝、第1回立命館大学コリア研究センター、韓国映画フェスティバルのあいさつより)と高く評価されている南の女優ムン・ソリが、南朝鮮映画の魅力を語った一冊。06年10月に、京都で開かれた同フェスティバル出演の際のトークやシンポの内容なども収録している。 ムン・ソリは、「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」「大統領の理髪師」など社会派映画にも数多く出演し、時代を鋭く表現してきた。また、「スクリーン・クォーター」(上映日数を一定以上とする国産映画振興策)緩和に対する反対運動に賛同し、ストリートデモへの参加にも積極的に加わり、米軍基地反対デモにも姿を現わす「行動する女優」として知られている。ベトナム戦争反対運動で世界的に知られたジェーン・フォンダのイメージに重ねて「韓国のジェーン・フォンダ」とも呼ばれている。 家父長制のもとの「良妻賢母型女性像」を打ち壊し、いきいきとした闘う多様な女性像をスクリーンで魅力的に演じてきたムン・ソリは、次のように語っている。 「私は個人的に、男たちが世界を救う、ブロックバスターの映画についてはあまり興味がありません。…かといって、私は世界を救うのは女性であるべきだと主張したいとは考えていません。そういうお話のほかにも、はるかに小さいけれど、多様で意味のあるさまざまな作品というのは多いと思いますし、そういうお話の中心に女性がいる作品もたくさんあると思います。そういう作品を選択してきた結果、私はこんなに多様なキャラクターに出会えたのではないか、と思います」 現代を生きる女性の悩み、苦しみを豊かに表現しうる資質と感性が凝縮された言葉であろう。(立命館大学コリア研究センター編、かもがわブックレット TEL 075・432・2868、600円+税)(粉) [朝鮮新報 2007.12.10] |