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〈第85回全国高校サッカー選手権大会 大阪朝高アラカルト〉 新たな大きな夢に向かって エースの趙栄志選手

スピードに乗ったドリブルで観客を魅了した趙選手

 「このチームのみんなと一生懸命サッカーできたことが、これからの財産になります」。大阪朝高のエース・趙栄志選手は、選手権1回戦の敗戦後に胸を張って、こう語った。大会優秀選手に輝いた前回大会は、自分のプレーだけにさえ集中していればよかった。でも3年生となった今年はチームを引っ張る存在になった。

 この1年間、練習中にチームの士気を盛り上げることを意識し続けた。ときには厳しい言葉でメンバーに迫った。それもすべて、もう一度、全国の舞台に立つためだった。

 前回の選手権後、春の新人戦、夏のインターハイともに府予選ベスト8で敗退。全国大会に進むことがどれほど難しいことなのか、あらためて気づかされた。「先が見えなくなったこともあったけど、そんな時ほど練習に励んだ」。

 そしてやっと立った冬の選手権の舞台。全力でグラウンドを駆け回ったが、1点は遠かった。

 趙選手の高校サッカーは幕を閉じた。でも彼のサッカー人生はまだ始まったばかりだ。「朝鮮代表になること」。まだまだ漠然とした夢だとはにかみながら、以前に趙選手が話したことがある。「うまくもないし、体も小さい僕でもやれるということを示したい」。全国大会に出場した先輩たち、Jリーグや朝鮮代表として活躍する先輩たちを見ながら、自分自身があこがれ続けたように、これからの子どもたちに夢を与えたいという。

 「国立」という夢は、涙とともに後輩に託し、趙選手は「朝鮮代表」というはるかな夢に向かって新たなスタートを切った。朝鮮国旗を胸にピッチを駆ける自分の姿をイメージしながら懸命にプレーし続ければ、きっと叶うと趙選手は信じている。これまでがそうであったように。(茂)

[朝鮮新報 2007.1.10]