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第50回 大阪府同胞駅伝・マラソン記念大会 2600人参加、同胞社会の名物行事に

走り、楽しみ、笑った

青年男子の部で優勝した朝青東淀川A。アンカーが最後の力を振り絞ってゴール

 大阪の同胞たちになじみ深い2月の名物行事、それが「大阪府同胞駅伝・マラソン大会」だ。今年で50回目を迎えた。11日、長居第2陸上競技場には府下の朝鮮初、中級学校の生徒、朝青員、一般同胞、関係者、応援に駆けつけた学父母らを合わせて約2600人が集まった。普段から走り鍛えている者もそうでない人も、誰もが気軽に楽しめるマラソン。同大会はただみんなで走り楽しむだけでなく、府下の同胞たちの顔合わせの場でもあり、同胞社会を盛り上げていく重要な役割を果たしてきた。50年前の第1回大会から半世紀を経た今もその意義はまったく色あせていない。

 晴れ時々曇り。寒空の下、大勢の生徒と同胞が競技場に駆けつけた。寒さを吹き飛ばす熱気が会場にあふれている。

 開会式終了後、すぐに競技がスタート。まずは大会関係者らの400メートルジョギングだ。スタートと同時に、虎のかぶりものをしてダッシュする選手の独走ゴールに会場は笑いの渦に包まれた。さすが笑いのメッカ大阪、観客たちのハートをつかむ演出が心にくい。

 和やかな雰囲気の中、いよいよ本番、選手たちの競技が始まった。コースは長居第2陸上競技場の外周マラソンコース(3.4キロ)だ。中級部男女、初級部男女の記録測定に続いて、各チームがしのぎを削りあう対抗戦だ。

初、中級部生徒らも一生懸命に走った

 一般男女、青年女子、初級部女子マラソンがスタート。続いて初級部男子、中級部班対抗、青年男子の駅伝が始まった。とくに注目を浴びたのが初級部男子の学校対抗戦と朝青支部対抗の青年男子、30〜60代まで幅広い年齢層が走る一般男子だ。対抗戦はランナーも応援する側も否が応でも燃える。

 初級部男子は10校がエントリー。軽快な走りを見せたのは生野Aチームだった。1区から5区までペースを乱すことなくタスキをつなぎ1位でゴール。プレッシャーのかかる1区をトップで帰ってきた金憲秀選手(6年)は、「みんなで一致団結して走った成果が今日の結果」と満足げだ。

 青年男子は16チームが参加。大会5連覇中の朝青東淀川支部Aが大方の予想通り今年も優勝、6連覇を達成した。

 同チームは、支部朝青サッカー部「コサリ」の面々。サッカーで鍛えた脚力を生かして今後も優勝を狙う。メンバーの金昌源さん(26)は、「この日のためにみんなで汗水流して練習してきた。やっぱりみんなで走ると楽しい」と笑顔を見せた。

意岐部分会、堂々3位

東大阪北支部意岐部分会のメンバー

 50回目を迎える記念大会にもう一つの「記念チーム」が参加した。東淀川北支部・意岐部分会が一般部門に十数年ぶりに出場したのだ。

 「最近は分会の名前を聞かんようになった。分会ががんばっとるんやとみんなに見せてやりたい」と語るのは参加者の中で最高齢の同分会顧問の任元宰さん(63)。

 金秀禎分会長(50)は、「昨年末から毎週土曜日に練習して銭湯にいって一杯飲んで話し合った。結束力がいっそう高まった」と語る。

 分会メンバーの朴信弘さん(47)は、一昨年と昨年、一般の個人で連続1位を獲得。今年は2位に甘んじたが、「今回は分会で出場できたので、気持ちの入れ方が違った。練習も一緒にこなせて連帯感が生まれた」とほほ笑んだ。任顧問は、「今大会を機に50代の分会委員たちが分会活動をもっと盛り上げていってくれれば」と願っている。

対外事業にも一役

子どもたちに大きな声援を送る学父母たち

 大会に長年携わっている禹龍漢・生野初級教育会会長(60)は、50回も続いてきた同胞大衆スポーツ行事はこの大阪のマラソン以外どこにもないと強調する。「毎年、欠かさず行われてきたことに大きな意義がある。同胞たちの健康促進にも一役買った。同胞たちが顔を合わせる重要な意味合いを持った大会だし、陸上愛好家たちが集う行事にもなった。それは今も昔も変わらない」。

 大阪体協や大阪陸上団が主となり同マラソン大会を運営してきたが、1980年代に入ると「大会運営が難しくなった」という。それは朝鮮学校の陸上部の相次ぐ廃部が主な原因だった。「陸上はマイナー」というイメージが先行し、生徒らが陸上部に入部しなくなったからだ。そんな危機を乗り越えて「4、5人の有志たちで伝統あるこの大会を絶対中止してはダメだと話し合い、ここまで盛り返して継続させてきた意義は大きい」と振り返る。

 そして、以前は府下の各競技場で行われていたが、第30回大会から長居陸上競技場にすることが決まった。それから20回、同競技場で大会が開催されたことになる。同競技場の年間スケジュールには、この「大阪同胞マラソン」が2番手の優先順位で確保されているという。

 大阪体協の李宇眞会長はいう。「この日本で在日朝鮮人に対する風当たりが強くなる中、施設を借りられなくなることもありえる。しかしこの歴史ある大会ではそんな心配はしていない。日本の人たちとの交流を密にしてきたし、ますます理解も深まっている。初、中級部の生徒が走って学父母が応援にかけつけ、みんなと顔を合わせては笑顔がこぼれる。これほど意義ある大会はない。半世紀を経て育て上げてきた大会をこれからも盛り立てていきたい」。(金明c記者)

◇     ◇

 【競技成績】(団体、対抗戦)

 ▲初級部男子−@生野AA大阪第4B城北
 ▲初級部女子−@大阪第4A泉州B東大阪

 ▲中級部(男女混合) 

 ・1年生@北大阪1班A東大阪4班B東大阪1班
 ・2年生@東大阪4班A東大阪3班B東大阪1班

 ▲青年男子−@朝青東淀川支部AA留学同大阪B朝青生野西

 ▲青年女子−@朝青生野西A朝青城北合同チームB朝青商工会北

 ▲一般男子−@生野アボジA北大阪アボジB東大阪北支部意岐部分会

[朝鮮新報 2007.2.21]