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〈北海道朝高ウエイトリフティング部物語E〉 「食」の話〜「ゴールデンロード」

食費がかさむ「大食い集団」

部員の李在Q(右)、徐文平選手(左)を連れ出し一緒にラーメンをすする金太壌コーチ

 ウエイトリフティング選手の「食」はどういうものなのか。金太壌コーチは、後輩の健康を気遣って食事の面倒を見ることも多い。「うちは大食いの集団。食費なんて今まで一体いくら使っているかわからない」と笑う。

 体を大きくするには食べるのが一番。ウエイトリフティング部の選手たちは、中級部の頃は当然、体も小さく細い。それが6年後の高校卒業前になると、身長は20〜30センチ伸び、体重も数十キロ増えているのが当たり前だ。

 実際、現役の李在Q選手(3年)は中1の時は身長160センチ、体重も50キロ台だったが、今では身長187センチ、体重もゆうに105キロを超えている。「吐くまで食べた」というが、その表現は大げさではない。ウエイトリフティング部にとって「食べることも練習」で「食べ続けるのは練習の3倍はきつい」とも。

 しかし、どこでどうやって食べる量を増やしていくのだろう。まずは家庭での食事。ウエイトリフティング部の選手の家庭では毎晩、食卓にたくさんの料理が並ぶ。カロリー計算やバランスも考える。食費はかさむがこれもすべて「子どものため」との親心だ。食事管理は部の大切な仕事で、父母の協力がとても大切だ。

特盛のカレー、牛丼を食べたあとのラーメン屋。満腹で2杯目の麺が1本づつしか口に入らない徐選手

 成人男性で、一日に必要なカロリーは平均2500キロカロリーと言われる。同部員は普段からその倍を摂取していると言っても大げさではない。「カレーは飲み物」。誰が言ったか知らないが、部では常識になっている。

 「そろそろ行くか!」。金コーチの言葉に部員たちは一様に肩を落とす。同部の伝統、「ゴールデンロード」の始まりだ。「記者さんも行きますよね?」。「…行きます」。何が起こるかわからないが、覚悟して返事をした。

 金コーチ、李在Q(3年)、徐文平選手(1年)と共に車で向かった先はカレーショップだった。「ここからスタートだ」。

 聞いてあ然。1時間以内に3軒の店をはしごするという。「ゴールデンロード」とはこのことだ。すべて「特盛」級。全部食べきることで体重を一気に増やすのだという。(高校生がそんなに食べれるの?!)。そう思いながら隣を見ると、すでに選手たちは深呼吸に入っている。「俺と記者さんは普通盛り。お前らはちゃんといつもの食え」。

 目の前にジャンボカレーが出てきた。その上には餃子がどっさり乗っている。見るだけでもつらい。それでも2人は全部平らげた。「まだここは序の口」と余裕の表情の李、徐選手。

 店を出て向かった先は歩いて30秒先にある吉野家。「2人は特盛ね」。つらそうだがそれも食べきった。記者もカレーに、豚丼をほおばった。高校生以来…正直つらい。

 閉めはラーメン屋だ。李選手はチャーハンとラーメン。徐選手はラーメン2杯ときた。「時間ないぞ。追い上げろ」と金コーチの容赦ない声。2人はもう無口だ。顔も引きつっている。

 記者も慌てて麺を口にするが限界。それでも気合いで食べきった。1時間に3食は初めての経験だ。隣で徐選手が一本一本麺を口にしながらもがいている。「おい、早く食え」。店員も客も驚いた目と半笑いでこっちを見ている。 徐選手はなんとか食べきった。

 「次、行くぞ」。「?!」向かったのは店の下にあるバッティングセンター。ここで少しばかりのカロリー消費。でも腹がふくれていてバットが振れない。自然と構えがバントになっているのが笑える。部室に帰って体重を量った。ショック。記者と選手2人の体重はそれぞれ3キロ増えていた。

 「試合前に体重が落ちたりするとみんなで行くのがこれ。うちの部の大事な伝統。選手たちに気合いを入れる場でもある」

 これもコーチと選手のコミュニケーションを図る大切なことだと実感。そして、選手の体が大きくなるのも納得した。満腹感の消えない記者は次の日、1食に控えた。(金明c記者=つづく)

[朝鮮新報 2007.2.21]