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金恵娟、安成花選手 「太陽節記念全国体育祝典」に参加 在日選手らに活躍の舞台を

技術向上の貴重な経験積み

 【平壌発=李相英、文光善記者】4月の名節に際し平壌で行われている「太陽節記念全国体育祝典」に在日同胞の金恵娟(明治大学3年、女子ウエイトリフティング)、安成花(東京朝高3年、新体操)の両選手が出場した。金恵娟選手は女子ウエイトリフティング+75キロ級で4位。安成花選手は新体操個人種目別競技で3位、銅メダルを獲得した。

実力の一端を誇示

ウエイトリフティング部門に参加した金恵娟選手

 8日、青春通りのウエイトリフティング館で行われた女子ウエイトリフティング+75キロ級に出場した金恵娟選手はスナッチで78キロ、クリーン&ジャークで100キロを成功させ、トータル178キロで4位の成績を残した。

 金選手は北海道朝高時代、全国選抜大会2冠、全国高校選手権2冠(日本の全国大会で4連覇)という金字塔を打ち建てた「女王」。「体育祝典」参加は朝鮮の選手、関係者らの注目の的だった。

 「落ち着いて競技に臨めなくて…。実力を発揮できなかった」

 競技後、金選手は安堵の表情を浮かべながらも競技結果が「恥ずかしい」と悔しさをにじませた。

 生まれて初めての祖国での競技、日本に比べ準備時間の間隔は短く、速いスピードで進行する競技の流れに驚いた。また、1カ月前に同祝典への参加が突然決まり、十分な準備をできなかったこと、ケガが完治していなかった事情もあり、満足のいく結果ではなかった。

 その一方で、金選手への祖国側関係者らの評価は決して低くない。競技を観覧したある関係者は、「金選手の日本での実績はみなが知っている。体格もいいうえに、技術も高い」と評し、「今回は準備不足という印象を受けたが、将来有望な選手。今後も練習に励み好記録を出してくれることを願っている」と話していた。

 今回、初めて祖国を訪問したという金選手。訪問の感想について聞いてみると、「自分が生まれ育った北海道と雰囲気が似ていてよかった」。

 満足のいく結果ではなかったものの、「今後も競技を続けていくためのいい経験を積めた」と話していた。

生まれて初めてのメダル

新体操部門で銅メダルを獲得した安成花選手

 一方、8日から12日まで行われた新体操個人競技に参加した安成花選手は、10日の種目別ロープ競技で3位、銅メダルを獲得した。練磨してきた技術を存分に発揮し16人が参加した成人級競技(15歳以上、日本で言うシニアの部)で順位圏に入った。

 競技後、「初めて大会でメダルを獲得したので、本当にうれしい」と安選手ははにかんだ。

 安選手は祝典期間、祖国の選手らとともに練習した。基礎動作を重要視する祖国の練習で、「習うものが多かった」。競技会場で観覧していた朝鮮の選手、関係者らの声援も聞こえた。

 安選手を引率した金明華講師(西東京第1初中、新体操部講師)は今回、祖国の国内競技大会に参加したことが在日の新体操選手の活躍の舞台をより広め、技術技量を高めるのにいい契機になったとふり返った。

 朝鮮学校数の減少など諸事情により学生中央体育大会での新体操種目は数年前、廃止された。現在、生徒らの主な競技舞台はインターハイ予選、新人戦をはじめとする日本の大会だ。安選手が主将を務める東京朝高新体操部には技術指導教員がいないため、生徒らは朝大で練習したり日本のクラブに通いながら技術技量を高めている。

 一方、在日の関係者は各世代の生徒らとともに日本人選手らも招請する競技大会の開催など後進の育成に尽力している。

 金講師は祖国訪問期間、夏休みなどを利用し、生徒らが祖国で練習できるよう、現地の指導員らと話し合ったりもした。「経験を共有すれば、相互の技術向上にも役立つはず」と実現を希望している。

 安選手は17日まで現地に残りトレーニングを続けた。「日本に帰ってさらに技術を高めたい。祖国での経験をトンムたちにも教えてあげたい」。

相互交流を希望

 今回、在日同胞選手らの大会参加は朝鮮側の要請が契機となった。在日本朝鮮人体育連合会(体連)が討議し、ウエイトリフティングと新体操部門への選手派遣を決めた。

 「体育祝典」の前身である「万景台賞」体育競技大会(今年から改称)には過去、在日朝鮮蹴球団が参加していた。しかしここ数年間、同胞選手らの参加はなかった。

 選手らを引率した体連の李清敬副理事長は、「祖国で競技したこと、朝鮮の選手らとともに練習したことが同胞選手らの経験となった」と今大会参加の意義を強調する。

 祖国側関係者らの中でも、在日同胞選手らが他種目に参加し、朝鮮の選手との交流がより活発になることを望む声が上がっていた。

[朝鮮新報 2007.4.18]