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第46回都中学校総体兼第60回都中学校サッカー選手権 東京朝中 初優勝! 関東大会へ

雨中の激戦を制する

 「第46回東京都中学校総合体育大会兼第60回東京都中学校サッカー選手権大会」の決勝が7月30日、駒沢第2球技場で行われた。同大会初の決勝進出をはたした東京朝鮮中高級学校中級部(以下、朝中)は、麻布中を2−0で下し、初優勝の栄誉に輝いた。これにより朝中は関東中学校サッカー大会(7日〜)へ都代表として出場することが決まった。7位以内に入れば全国大会へのキップが手に入る。

雷雨のなかキックオフ

 決勝前夜、金龍徹監督(32)はテレビの天気予報を見て、思わず首を振った。大雨の予報だった。

 「雨が降ったからといって、別に不利有利はない。条件は相手も一緒だから。ただ、ピッチのコンディションが悪いと不測の事態が起こりやすいので…」

 当日は、水を吸ったスポンジのような雲が朝から空一面を覆った。キックオフ1時間前に雨が落ち始め、やがて激しい雷雨に。このまま雷雨が続けば順延になる規定だった。

 大会本部では直前まで協議した結果、雷雨は収まると判断し、決勝は予定時刻を30分繰り下げて行うことに決まった。

 一度アップを終え、控え室で待機していた選手たちは、試合決行の知らせに気合いを入れ直した。

 金監督は事前のミーティングで、「この一戦だけに集中しよう。お前たちはもっとやれる。自信を持て。リラックスして楽しもう」と選手らに声をかけた。

 対戦相手の麻布中とは初顔合わせだった。だが、「自分たちのサッカーをすることが大切」という金監督の言葉通り、選手たちに気負った様子はみられない。

 午後12時30分、決勝戦の開始を告げるホイッスルが鳴った。人工芝は雨をたっぷり吸い込んでいた。

序盤から相手を圧倒

前半24分、、11番金豊徳選手が右サイドを駆け上がり、GKと一対一の局面を迎えるも、シュート直前で相手DFにクリアされる(7月30日、対麻布中)

 低くバウンドしたボールが手前でグンと伸びる。と思いきや、高く上がったボールはベチャっと音をたてて跳ねない。目測を誤ればミスにつながる。両チームともに慎重な立ち上がりを見せた。

 徐々に朝中は攻勢に出る。「前から、前から!」とベンチからの指示が飛ぶ。積極的にプレッシャーをかけ、相手のミスを誘い、主導権を握りにかかった。

 そして8分。朝中に最初の決定機が訪れる。ボランチの許亮選手(中3)が左サイドからクロスとみせかけたループ気味のシュートを放つ。意表をつかれた相手GKが逆走するなか、ボールは惜しくもポストを叩いた。金舜徹選手(中3、主将)が詰めるも、ゴール左脇に逸れる。

 麻布中の長田順平監督(24)は試合前、雨のコンディションが自分たちに有利に働くと考えていた。「朝中の長所はよく走ること。走力ならこちらが劣る。ただしドライコンディションでの話。雨で重たくなったピッチなら…」。

 しかし、雨は麻布中に禍した。

 13分、金監督が指摘していた不測の事態が起こる。朝中のプレスに焦った麻布DFがGKに向けてバックパスを送るも、なんと失速。GKの2メートル手前で止まってしまった。

 追い掛けていた金舜徹選手が、すかさず拾う。GKをかわして無人のゴールに流し込んだ。「あの失点は不運だった」(長田監督)、「あきらめずに追い掛けてよかった」(金舜徹選手)。

 24分には、金豊徳選手(中3)が右サイドを駆け上がり、GKと一対一の局面を迎えるも、シュート直前で相手DFにクリアされた。

 前半はボール支配率で優位に立った朝中が終始、押し気味に進めた。

ロスタイムに追加点

ペナルティーエリア外から積極的にシュートを放つ金舜徹選手(7月27日、対落合中)

 後半。雨が弱まった。10分過ぎにはスタンドの観客が傘をたたみ始める。ピッチの状態が上向くにつれ、試合が動きだした。

 立ち上がり、攻勢に出たのは麻布中だった。朝中サイドのペナルティーエリア手前まで再三攻め込む。だが、朝中DFも姜承基、金竜盛選手(ともに中3)を中心に落ち着いて対処し、決定機を与えない。

 11分、朝中は反撃に転じた。左サイドを突破した温盛泰選手(中3)がペナルティーエリア内にドリブルで切り込んだが、背後からせまった相手DFと足が交錯して転倒。PKの予感に会場はどよめいたが、主審の手は上がらなかった。

 17分、左から右へと展開し、オーバーラップしていた右サイドバックの兪m選手(中3)がゴール前にセンタリングを上げる。こぼれ球をゴールほぼ正面で拾った李竜秀選手(中3)がミドルシュートを放つが、バーを叩いた。

 直後には温盛泰選手が個人技で右サイドをえぐり、GKとDFの間に早いグラウンダーのクロスを送る。金舜徹選手が詰めていたが、ボールは足先をかすめた。

 主審が時計にチラっと目をやる。残り時間が少ない。朝中のリードはわずか1点。ベンチからは、「退くな。もう1点とりに行け!」と金監督の檄が飛ぶ。麻布中も最後の力を振り絞って攻め上がる。ロスタイムは2分を表示した。

 29分、麻布中のパワープレーを跳ね返したクリアボールが前がかりになっていた麻布サイドのスペースへ流れる。前線で待機していた金舜徹選手のもとへと渡り、あっという間のカウンターから敵陣ゴール前にせまった。

 左足から放たれたシュートは相手GKの正面に飛んだが、思い切り振り抜いた分だけボールに勢いがあった。飛びついたGKの左脇下をすり抜けてダメ押しの追加点を上げた。

 試合後、金監督は「ずば抜けてうまい選手はいない。全員がひたむきに努力した結果だ。このチームはもっと可能性を秘めている」と大会を総括した。

 関東大会1回戦は、韮崎東中(山梨代表)との対戦が決まっている。「まだ通過点」−そう自ら言い聞かせる金監督の目は、すでに先を向いていた。

 一方、東京朝鮮第4初中級学校サッカー部は同ブロック準決勝で第二砂町中に1−2で敗れたが、都ベスト8に食い込んだ。

 また、東大阪朝鮮中級学校サッカー部は大阪中学校サッカー選手権大会中央大会準決勝で盾津東中に1−2で敗れ、府ベスト4で涙を呑んだ。(李東浩、韓昌健記者)

[朝鮮新報 2007.8.1]