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〈07年度インターハイ〉 ボクシング競技に出場した10人の朝高選手

「同胞の声援に応えたい」

 東京、大阪、神戸の各朝高から10人が出場したインターハイボクシング競技。これまでのトレーニングの成果をいかんなく発揮した。また、九州地方をはじめ、各地から駆けつけた同胞の声援に力と勇気をもらいながら、彼らの期待に応えようとする選手たちのひたむきな姿は、多くの同胞や関係者の胸に残った。(李東浩記者)

「優勝の味は青春の味」 金メダル獲得した尹成得選手

「気概に感動」

大阪朝高・尹成得選手(右)

 大阪朝高・尹成得選手(高2)は、大会3日目の7月31日に初戦を迎え、東北の強豪、水沢工業高(岩手県)の中家祥行選手に判定勝ち(8−4)した。緊張のためか、頭が下がり、自分の思い通りに試合を運べなかった。

 続く準々決勝では、佐賀北高(佐賀県)の馬場浩平選手を相手に2R、ダウンを2度奪い、1分26秒でRSC勝ちを収めた。準決勝では自分よりも背が高くリーチも長い浜松工業高(静岡県)の岡田良綱選手と対戦し、3R1分18秒で失格勝ちを収めた。この試合でも緊張はほぐれなかったという。しかし「金メダルを取ることで全国の同胞らに力を与えたかった」という気持ちは、強くなっていた。

 迎えた3日の決勝。相手は岡山後楽館高(岡山県)のM崎良太選手。(祖国での強化合宿など厳しい練習の成果をこの試合で出さなければ)と2R後半に強打を的確に浴びせた。3Rには左ストレートをボディに決めるなど、有効打を放った。M崎選手は尹選手の左ストレートを警戒するあまり、ペースを乱したという。

 試合は判定へともつれこんだ。右手が上げられた瞬間、尹選手は左の拳を握りしめ、喜びを爆発させた。12−10の判定勝ちだった。

 顔を崩して「コマプスムニダ(ありがとうございます)」とリング下に向かって一礼する姿に九州の同胞らは「感慨無量。たくさんの力をもらった。試合後の礼儀もすばらしい」と褒め称えた。観戦に訪れた尹聡さん(38)は、「良い試合だった。生徒数が少ないというハンディを民族教育の力で跳ね返すという気持ちが発揮されたのではないか。『倒れてはだめ』だという使命感が成得選手を支えていたのだろう」と妻の「梨香さん(30)とともに喜んでいた。

さらなる伸びを

 尹選手の腫れあがった紫色の右目が、決勝戦の激しさを物語っていた。試合中の6分間、今まで味わったことのない緊張に襲われ、判定時には頭の中が真っ白になった。インターハイでは、基礎の重要性を再確認した。今後、さらに練習を重ね国体、選抜大会でひとつでも勝ちたいと決意を語った。

 優勝直後、「佐賀まで足を運んでくれた学父母、そして九州の同胞らの応援が大きな力となった。全同胞の期待に応えられてほんとうにうれしい」と話していた尹選手。「2007年8月3日は、忘れられない日となった。口の中は血の味がするが、この味が青春の味なのかもしれない」と照れ笑いした。

 三男の勇姿を見ようと、オモニ・金貞姫さん(52)とともに会場に駆けつけたアボジ・尹日石さん(47)は、「成得だけの力で取った金メダルではない。監督の指導、そして学父母、九州の同胞らの応援の賜物だ」と話していた。尹さんは息子に、ボクシング界での活躍を朝・日友好親善に役立ててほしいと願っている。「優勝はうれしいだろうが、まわりへの謙虚さを忘れてはいけない」と戒めつつも、「大人っぽくなった」と笑っていた。

 2年生でのインターハイ制覇は朝高生初だ。大阪朝高・宋世博監督(25)は「3Rは良かった。祖国で強化訓練を経験したのが大きい。しかし、まだまだ経験不足。さらなる伸びが必要」と話していた。

「熱い気持ち」で大健闘 銅メダル獲得の李正太選手

銅メダルを獲得した大阪朝高・李正太選手

 大阪朝高・李正太選手(高3、フライ級)は、2回戦で奈良工業高(奈良県)の進藤幸市選手に不戦勝。3回戦で会津工業高(福島県)の歌川宗一郎選手、準々決勝で東福岡高(福岡県)の福岡竜太選手に判定勝ちしたが、準決勝で対戦した市立習志野高(千葉県)の三須寛幸選手にRSC負け(3R27秒)し、3位になった。

 準決勝では、序盤から連続有効打を浴びせられ、3Rまでに15ポイントの差が開き、自身初のRSC負けとなった。高いボクシングセンスと「在日同胞の熱い気持ち」で人生最後のインターハイに臨み、銅メダルを手に堂々と大阪に帰った李選手。

 愛嬌ある表情を引き締めながら、「これからいろんな面でもっとがんばっていきたい」と語った。

「今はすがすがしい」 ベスト8の鄭崇志選手

大阪朝高・鄭崇志選手(左)

 大阪朝高・鄭崇志選手(高3、ライトフライ級)は、1回戦の京都明徳高(京都府)の山本怜史選手、2回戦の本庄北高(埼玉県)の加藤竜二選手、3回戦の飛龍高(静岡県)の市村雄大選手にそれぞれ判定勝ちし、準々決勝で磐城第二高(福島県)の片山聡一郎選手に判定負けし、ベスト8の成績を残した。

 五分五分だった準々決勝では、踏み込んで打ってくる相手選手に比べ、ポイントを獲ることができなかった。しかしスピード、技術では引けをとらなかった。

 39度の熱がようやく平熱に戻った初戦、2Rに鼓膜が破れた準々決勝など予期せぬ出来事が鄭選手を襲った。「監督をはじめとするまわりの気遣いで、準々決勝までに万全の状態を作ることができた。今はすがすがしい」と語った。

「同胞の温もり感じた」 ベスト16の朴勇吉選手

東京朝高・朴勇吉選手(左)

 東京朝高・朴勇吉選手(高3、ミドル級)は、1回戦の花咲徳栄高(埼玉県)芦田崇宏選手、2回戦の沖縄尚学高(沖縄県)倉嶋樹選手から判定勝ちを収めたものの、3回戦で判定負けし、ベスト16にとどまった。

 力みが抜けた3回戦では鋭いパンチで攻め続け相手を追い詰めたが、駆け引きでは相手が一枚上手だった。

 全国大会出場が決まり、同胞の応援のあたたかさを身に染みて感じた。それは自身にとって大きな変化でもあった。朴選手は、「整理はできないけど、新しい何かを得た。夢は後輩に託したい」と話した。

「国体優勝に向けがんばる」 ベスト16の呉泰浩選手

大阪朝高・呉泰浩選手(左)

 大阪朝高・呉泰浩選手(高3、バンタム級)は、2回戦で金足農業高(秋田県)の関俊吾選手に判定勝ちしたが、続く3回戦で南京都高(京都府)の田中智博選手に判定負けを喫し、ベスト16だった。

 3回戦の判定は9−9とポイントは同じだったが、優勢負け。手数は多いもののパンチは流れ、ポイントを稼げなかった。

 「敗因は打ち方」にあると呉選手。試合後、日ごろ世話になっている関係者への報告は涙声だったが、「国体優勝に向け、がんばりたい」としっかりした口調で語った。

「力は出し切れた」 5選手も健闘

 神戸朝高・葛龍平選手(高3、フライ級)は、2回戦で対戦した青森工業高(青森県)の田邊瑞輝選手に判定負けし、初戦敗退となった。スピード攻撃で負かすスタイルを見せることができなかった。「油断していた。情けない…」。国体での活躍を誓った。

 東京朝高・李栄柱選手(高2、フライ級)は、1回戦で岩川高(鹿児島県)の大吉翔太選手に判定負けした。「行けるところまで行きたい」との思いで望んだ初戦では、軽いステップでジャブを繰り出すも、ヒットしなかった。「実力で負けた」と振り返った。

 東京朝高・金泰希選手(高3、バンタム級)は、1回戦で愛知産業大学三河高(愛知県)の大場憲人選手に判定負け。1Rから激しい打ち合いを繰り広げ軽快なフットワークを見せたが、2Rで力み、圧倒された。「短いボクシングの試合を長く感じた」と悔やんでいた。

 大阪朝高・尹一樹選手(高3、フェザー級)は、莵道高(京都府)の中山翔太選手に判定負けし、初戦敗退となった。自慢の足腰、速度あるパンチで積極的に攻め、3Rにはロープ際に追い込んだが、相手がやや優勢だった。「悔いは残っていない。力を出し切れた」と爽やかだった。

 大阪朝高・劉明剛選手(高2、ウェルター級)は、沖縄尚学高(沖縄県)の川江輝選手と2回戦で対戦し判定負けを喫した。背の高さとリーチで勝り、フットワークも使ったが、近距離で数発もらった。「やりにくかったが、力は出し切った。次の全国大会では勝つ」と闘志を見せた。

[朝鮮新報 2007.8.10]