〈2007インターハイ〉 重量挙げ 「次は自己ベスト超えを」 |
北海道・徐文平選手
全国高等学校総合体育大会(インターハイ)のウエイトリフティング競技が6〜9日、有田町焱の博記念堂で行われた。9日の105キロ級競技に出場した北海道朝鮮初中高級学校ウエイトリフティング部・徐文平選手(2年)は、佐賀をはじめとする九州同胞たちの声援のなか健闘したが、ジャークで反則があり順位、記録なしという結果に終わった。 「ちょっと緊張している…」 検量を終えた徐選手の表情はこわばっていた。しかしOGの金恵娟さん(21、明治大学3年)が差し入れをもって会場を訪れると、和らいだ。 「あせらずに挑むことが大事だ。2年生選手らのなかでは1位を、そして自己新記録も狙う」。金太壌コーチは試合前、こう話していた。入賞を狙い、来年につなげたいという徐選手が、登場すると、「がんばれ!」という九州同胞たちの声援が会場に響いた。 ジャーク失敗で焦り 徐選手は、スナッチ1回目の試技で失敗、2回目で92キロを成功させるが、3回目で97キロに失敗した。 クリーン&ジャークへの期待が膨らむなか、1回目で122キロに挑んだが、ジャーク動作に反則があった。続く2回目、3回目の試技でも失敗し、順位、記録なしとなった。 試技を見終えた金恵娟さんは、「たくさん練習しているけど、本人はまだまだ練習不足と思っているみたい。体が大きくて強いのに、性格はとても弱い。(クリーン&ジャークの)スタートで失敗して焦ったと思う。メンタル面の強化が今後の課題では」と話していた。 九州同胞の温かい声
この日、北九州から会場を訪れ大声援を送っていた孫城代さん(41)。水泳の全国大会で中高時代に活躍した息子を持つ。朝高生の耳に入る「地元同胞の応援」が、何よりも力になると実感してきたという。 2003年夏、北海道で開催された全国中学校総合体育大会水泳競技に出場した息子を包んだ北海道同胞の声援が「忘れられない」と、「恩返しのつもり」で応援した。「個人競技に参加する選手は、団体競技とは違った独特な雰囲気の中で試合に臨む。そんな選手たちに届く同胞の声はとくに力になる。息子がそうだった」と笑顔で会場をあとにした。 夏休みで伊万里市の実家に帰省していた朴美星さん(21、朝鮮大学校4年)も家族とともに会場を訪れた。「佐賀県でインターハイが開催されるということで、家族総出で応援に来た。徐選手にはほかの日本人選手らとは違ったプレッシャーもあったと思う。そのなかで同胞らの大きな期待を背負いがんばっていた。まだ2年生なので、来年もインターハイに出場して好記録を狙ってほしい」とエールを送った。 「強い心臓」で活躍を 当の徐選手は、クリーン&ジャークの1回目で、いっぺんに挙げることができず、動作が遅れたことが失敗の原因だった。これによってさらに緊張し、地力を発揮することができなかった。 試合後、「ふがいない」とうつむく徐選手を九州の同胞たちは励ました。徐選手の予想よりもはるかに多かった同胞の応援は、「力になった」(徐選手)。その応援に応えられない悔しさが、試合後に流れた涙に込められていた。 練習量が記録に現れるウエイトリフティングに魅了されているという徐選手。部員は現在ひとりだ。自身二度目の挑戦となる今回のインターハイは、後悔の残る大会となった。 「強い心臓が欲しい」と語る徐選手。トータル230キロ(スナッチ100キロ)の自己ベスト超えと、全国大会での活躍を誓う情熱で燃えていた。(李東浩記者) [朝鮮新報 2007.8.22] |