在日朝鮮学生中央体育大会 白熱の決勝戦、1年間の成果を披露 |
朝鮮民主主義人民共和国創建59周年記念、在日朝鮮学生中央体育大会が5日から7日にかけて開かれた。 今年も陸上競技、サッカー、バレーボール、バスケットボール(写真)、卓球、野球、テニス、ラグビー、柔道、ボクシング、空手の11種目で行われた。 東京・駒沢陸上競技場をはじめとした関東各地の競技場、朝鮮大学校、大阪朝鮮文化会館などがその舞台となった。 台風の影響から一部競技が中止となる悪天候の中でも、選手たちは日々の練習の成果を存分に発揮していた。 全11種目のうち、陸上競技、サッカー、バスケットボール、空手の決勝および注目選手にスポットをあて、大会を振り返った。(取材班) ▼サッカー 中学、東大阪 3年ぶり優勝/高校、大阪 府代表の意地見せる
中級部サッカーには31校22チームが出場した。競技は台風の直撃による悪天候の中で行われたが、選手たちは雨風をはねのけひたむきに走り回った。 決勝は前評判どおり、昨年の優勝校で7月の東京都中学校サッカー選手権大会で初優勝した東京と、3年前の優勝校で大阪中学校サッカー選手権大会ベスト4の東大阪。一進一退の好ゲームが予想されたが、試合は思わぬ展開になった。 序盤、ボールをキープしながら着実にゴールを目指す東大阪に対し、東京は一瞬の隙をつきスピードに乗ったカウンター攻撃からシュート。しかしポストを直撃。立て続けに放ったシュートも阻まれた。 これで目が覚めたのか、東大阪の怒涛の攻撃が始まった。前半に1点を奪った東大阪は、前のめりになった東京のディフェンスの裏をついたサイド攻撃などで後半10分、14分、20分、25分、27分と立て続けにゴールを決め、6−0で大勝。3年ぶりの優勝を果たした。 華麗なドリブル突破を見せるなど2得点を挙げたキャプテンの康貴裕選手(3年、FW)は「2年間優勝から遠ざかっていたので、今大会を大きな目標にしてがんばってきた。都大会で優勝した東京に大差で勝ててうれしい」と語った。 「見ている人が楽しめるサッカー、朝鮮学校の生徒らしい熱い試合で観客を感動させたかった」というキャプテンの言葉どおり、パスをつないでボールを回す「大人のサッカー」で他校を圧倒し観客を魅了した。 朴秀勇監督は「3年生が力を合わせて持てる力をすべて発揮した。朝高に行っても一生懸命やってほしい」と語った。 唯一2年生で出場の黄将健選手(FW)は、小さい体ながらスピードとテクニックを活かしたプレーで活躍、2得点を挙げた。「先輩の分までがむしゃらに走った。来年も優勝したい」と語った。 大会では、中学校都大会ベスト8の東京第4が3位に入賞した。「久々の活躍」に関係者も喜んだ。準決勝では東大阪と互角に渡り合ったが、チーム唯一のゴールキーパーが退場となってしまい破れてしまった。しかし、3位決定戦ではPK戦のすえ、京都を下した。 キャプテンの金修長選手(3年、MF)は「これから1、2年生たちに、3年生の持てるものをいっぱい残していきたい」と語った。(泰) 高級部には6校が出場、決勝は大阪、神奈川との間で行われた。 最初にリズムをつかんだのは神奈川。ルーズボールに対して鋭い反応を見せ、まずはボールを支配、右サイドからの突破に勝負を賭けた。神奈川は激しいマークとスライディングで、この試合に賭ける執念を見せる。 しかし、今年度インターハイ出場校の大阪に焦りは見えない。堅固な最終ラインに支えられ、徐々に主導権を奪いにかかる。 25分、連続したコーナーキックに集中力を切らしたか、神奈川ディフェンス陣が大阪のフォワード陣を掴まえきれない。放物線を描いて飛んできたボールは、フリーで飛び込んできた大阪の選手の頭を経てゴールへ。 どんなリスクをおかしてでもゴールが欲しい神奈川は、ディフェンスを削りオフェンスの層を厚くして反撃を試みるも大阪の最終ラインを崩せない。 後半に入り、両チーム共に選手を2枚代えて打開を図るもスコアは凍りついたまま試合終了を迎えた。(丘) ▼バスケットボール 東京朝高 男女で連覇
駒沢体育館で行われたバスケットボール競技では、連日白熱した戦いが繰り広げられた。 試合はトーナメント方式で行われ中級部男子、女子が各13チーム、高級部男子7チーム、女子6チームが参加した。高級部では男子が4連覇、女子が2連覇を果たした東京がアベック優勝を飾った。 男子決勝は、東京と4年ぶりに決勝リーグへ進んだ京都との間で行われた。両チーム共にもち味の走るバスケを武器に接戦を繰り広げたが、シュート成功率の高かった東京が第1クォーターで20点差をつけリードする展開に。京都も必死で追いつこうとするが結局、差は縮められず、107−74で東京が勝利した。 3位決定戦は、神奈川を93−70で下した神戸が勝利した。 一方女子は、2連覇を狙う東京と2年ぶりの優勝を狙う大阪との因縁の対決となった。 「レギュラーだけではなく、部員全員で勝利をつかむ試合にしたい」と東京の金正淑監督は試合前に語っていた。 東京は、全選手を主力とし交互に交代させながら試合に臨んだ。交代選手の少ない大阪は第3クォーターから体力が消耗しだしミスが目立つようになった。終盤、東京が大阪との点差を広げ96−79で勝利し大会2連覇を果たした。 東京朝高の呉理順主将は「スタメンだけではなく選手全員がコートで戦い勝ち取った優勝。とてもうれしい」と喜びを語った。 3位決定戦は、京都が53−52と1点差で神戸を下した。 京都朝高は過去4年間、入部希望者がいなかったためバスケ部は廃部になっていた。去年6人の1年生が入部し、復活した。そして今年、2年生になった6人が京都朝高の復活を見せるかのように、見事3位に輝いた。 朴漢種監督は「チームができて間もないが、選手たちは一生懸命練習に励んだ。今年は3位に終わったが来年が本番だと思っている。来年は、新1年生を迎え優勝するために必ずここに戻ってきたい」と語った。 一方、中級部男子は55−47で尼崎を下した九州が優勝、3位決定戦では東京朝中が61−50で東京第1を下した。 女子は43−37で京都を破った東京朝中が優勝、57−37で埼玉を下した東京第1が3位となった。(琴) ▼陸上 3冠のスプリンター登場
スプリンターにとって、100m、200mの制覇は最高の栄誉といえる。今大会、高級部男子の部で北海道朝高陸上部主将の李載裕選手(3年)が見事、これを成し遂げた。 時に4メートルを越える強風が吹く過酷な環境、好タイムが期待できない中、唯一100mで11秒台をマークした。今、李載裕選手こそが「最速の朝高生」である。 この李選手、100mに比べ200mのタイムが伸びなかったことを考慮するなら、より短い距離を得意とする選手と言える。「一発決勝」で勝敗が決せられたことが幸いした格好。「長い距離」を走らないで済んだからだ。 北海道朝高陸上部は、雪解けを待った5月からやっとトラックでの練習が可能になるという。したがって、どうしても走り込み不足になってしまうことは否めない。 冬の間は、ウエイトトレーニングを中心とした練習が組まれる。強豪と知られるウエイトリフティング部と共に行われるので、その強度は相当なものと思われる。 一般的に100m、200mを得意とするスプリンターは、リレーや跳躍競技、なかでも幅跳びに専念するものだが、この北海道の環境が100m、200mに加えて投てきの砲丸投げをこなす「特異」な選手を育んだ。 李選手は「中級部からの集大成のつもりで試合に臨んだ。金メダルという目標を達成できて最高の気分」と喜びを語った。 高級部女子は、東京朝高の金瑞瑛選手が100m、200m、400mで3冠を達成。100mでは2位に0.8秒、400mはおよそ5秒の大差をつけての勝利だった。金選手は走力および体力で他を圧倒していた。(丘) ▼空手 神奈川 個人、団体で躍進
神奈川朝高空手部主将の成瑛基選手は、7歳の頃から父親の影響で空手を始めた。その後、テコンドー、ボクシングなどの多様なジャンルにも挑戦、高級部からは空手一本に絞った。 前回大会では2年生ながら組み手で優勝するも、苦手とする型では金メダルを逃している。今年はそれを克服し、苦手とした型でも優勝。 「これで心置きなく『引退』できる」と語った。 今大会、成瑛基選手は個人種目よりも団体戦に強いこだわりを見せた。「3年生が『引退』すれば、少なくとも数年は団体戦出場が難しくなる」と言うのだ。 それだけに「格別の心情」で望んだ団体戦(型)での優勝に満面の笑みを見せた。(丘) [朝鮮新報 2007.9.12] |