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〈秋田わか杉国体〉 ボクシング

周太慶選手が準優勝 朝高OB 意地見せる

確実にポイントを重ね決勝まで勝ち上がった周太慶選手(写真は準々決勝)

 ボクシング競技(4〜8日、男鹿市若美総合体育館)は大阪府少年男子チームに大阪朝高・鄭崇志、呉泰浩(各3年)、尹成得(2年)、大阪府成年男子チームに龍谷大・朴泰一、東京農業大・周太慶(各4年)、近畿大・朴善暉(2年)、東京都少年チームに東京朝高・李栄柱(2年)、金泰希、朴勇吉(各3年)、東京都成年男子チームに朝大・金在鴻の各選手らが参加した。今大会で成年男子ウェルター級に出場した周太慶選手が準優勝した。

 周選手は大阪朝高ボクシング部出身で高級部時代には選抜大会、インターハイを制している。自身3度目、最後の全国大会では、セコンドについた恩師、大学のボクシング部監督、家族らへの感謝の気持ちを拳に込めた。また、成年男子ミドル級の朴善暉、少年男子ミドル級の尹成得選手はそれぞれ3位、そのほかの選手らは初戦敗退に甘んじた。

成年男子

ウェルター級準優勝の周太慶選手

 成年男子ウェルター級の2回戦(初戦)、準々決勝、準決勝をRSC(初戦から順に3R25秒、2R2分56秒、3R26秒)で勝ち進んだ周太慶選手。「最高の形で締めたい」と迎えた決勝の相手は以前、インターハイ決勝でワンサイドゲームを展開し下した選手だった。

 序盤は慎重すぎた。しかし抜群の距離感と長いリーチを生かしたアウトボクシングで、2R終盤からペースを握りポイントを稼いだ。「今までで一番」(周選手)だった3R、踏み込んだキレある有効打を繰り出し、中盤には相手選手の顔面をとらえた。とくに終了前30秒は高い集中力で攻めたものの、序盤の打数が響き4点およばずポイント負けで優勝を逃した。相手選手にとられたポイントの半分以上がボディへの打撃だった。

 「2R後半から調子を取り戻したが遅かった。それでも決勝戦は最高レベルの善戦だった」と梁学哲・大阪府連盟指定特別強化コーチ(セコンド)。東京農業大・山本浩二監督は「良い試合をしていた。褒めてあげたい。(周選手は)高校時代の恩師に国体でセコンドをしてもらうと励んでいた。在日の学生は実にまじめで一生懸命。すばらしい選手を送ってくれている大阪朝高には心から感謝している」と話していた。

 試合後、「梁コーチ、農大の監督、総監督、通っているスポーツジムの同胞トレーナー、家族らに感謝したい」と話していた周選手。「一番多くの時間を費やしてきた」ボクシングはかけがえのない「パートナー」だった。今後はボクシングでの経験を生かしあらゆる難関に打ち勝っていきたいという。そして「恩返ししたい」そうだ。

3位となった朴善暉選手(右)と尹成得選手

 全国3位。今大会、成年男子ミドル級に出場した朴善暉選手は波に乗っていた。打たれてもポイントを稼ぎ初戦から連続RSC勝ちで準決勝を迎えた。高級部のときに全国大会を2度経験している。全国準決勝への進出は夢だった。チーム事情を考慮し3週間で体重を5キロ増量。ミドル級出場のためだった。

 準決勝は大振りのパンチを浴びせてくる相手に対し細かい打撃でまとめた。しかし3Rでは足が止まり、ポイント負け(14−27)した。「準決勝出場は梁コーチにアップ練習から見てもらいセコンドについてもらったおかげ。これからも結果を残すことで恩返ししていきたい」。朴選手には入学前から目標があった。近大ボクシング部を常勝軍団として再建することだという。

 朴泰一選手は、成年男子バンタム級を制した選手に初戦(2回戦)、打ち合いのボクシングで接近したが、12−18のポイント負けを喫した。大学ボクシングの厳しさも4年間のうちに思い知った。「(相手が)強かったので楽しかった」「すがすがしい」と朴選手。プロを目指す朴選手にとって「久しぶりに梁コーチがセコンドしてくれた」ことは「なによりも心強かったし、うれしかった」。

 金在鴻選手は「朝大生初」の出場となった。成年男子ライト級の初戦で3R2分44秒RSC負け。接近戦で有効打を食らった。また、「手数が少なく力んでいた」(朝大・朱一コーチ、成年男子東京都代表コーチ)。大学ボクシングの難しさを痛感している金選手。全日本アマチュアボクシング選手権(大分県、11月15〜18日)に向け、モチベーションは上がっている。「これ以上負けたくない」と飛躍を誓った。

少年男子

 夏のインターハイミドル級覇者の尹成得選手は初戦(準々決勝)、硬さも見られたがパワーの違いで3R、2度のダウンを奪った。準決勝では1Rに眼瞼が3センチ切れた。それでも前へ前へと果敢に攻めた。しかし180センチの尹選手よりも高い位置から、リーチの長い相手選手の重いパンチを受けた。ブロックしたがよけきれておらず、ポイントに加算されていた。結果、10−14のポイント負け。

 「(判定時)頭の中が白くなり、何も考えられなかった。情けない」(尹選手)。大阪朝高・宋世博監督(少年男子大阪府代表監督)は「もっとまとめて打つ必要がある。課題は多いが、負けて得た収穫もあった」と話していた。選抜大会にミドル級はないため、来年の「インターハイ、国体2連覇」の偉業に期待したい。

 鄭崇志、李栄柱、金泰希、呉泰浩、朴勇吉の5選手は健闘したものの、それぞれ初戦でポイント負けした。今夏インターハイベスト8の鄭崇志選手は、毎回苦労してきた減量調整もうまくいっていた。試合後、「主将として弱音を吐くことはできなかったが、振り返ると本当に充実した3年間だった。今後は勉強に重きをおいてボクシングも続けたい」と話した。

 同インターハイベスト16の2選手は「基礎の重要度をあらためて思い知らされた。負けて得たものを今後活かしたい」(朴勇吉選手)、「勝って毎回応援に来てくれている親への孝行をしたかった…。大学でも続けたい」(呉泰浩選手)と今後を見据えていた。

 東京朝高・金尚洙監督(少年男子東京都代表監督)は「終始ペースをつかめず、もてる力を出し切れていなかった」と朴選手の試合後に話していた。

 一方、「最後の公式戦で勝ちたかった。3年間で得たものがとても多い。試合で勝ったときの喜びは格別だった」と金泰希選手は振り返った。そしてインターハイ後に気持ちを切り替えたという李栄柱選手の「まずは選抜大会で優勝する」という決意はいつになく固いものだった。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2007.10.10]