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プロボクシング・フェザー級 李冽理選手 A級制す

防御の向上が飛躍のカギ

 ボクシングの「第20回A級トーナメント」フェザー級決勝戦が10月31日、後楽園ホールで行われ、朝鮮大学校出身の李冽理選手(25、横浜光ボクシングジム所属)が円谷篤史選手(28、アベボクシングジム所属)にKO勝ち(6R1分47秒)した。李選手はこれでプロ戦績を10戦8勝(5KO)1敗1分とした。一方、「第35回チャレンジバトル」(6日、同ホール)ライト級に出場した同大学校出身の金ル徹選手(25、ドリームボクシングジム所属)は、角田卓穂選手(26、輪島功一スポーツジム所属)に3−0の判定勝ちを収めた。

隙見逃さずKO

試合のペースをつかみ有効打を決める李選手

 アウトボクシングの李選手に対し、円谷選手はインファイタータイプ。試合は始終、李選手のペースだった。

 左ジャブを中心に、李選手は自分の距離を保つ。相手選手の勢いある攻撃にコーナーに追い込まれることも多々あったが、そのときは左フックで巧みにポジションを変える。しかし、決定打を与えることはできず、試合は終盤へ。

 6R。突進してくる相手選手の一瞬の隙を、李選手は見逃さなかった。ガードの低くなった顎に右アッパーを当てる。ふらつきながらクリンチで逃げようとする相手選手をうまくかわすと、右フックを浴びせ、ダウンを奪った。

 円谷選手はすぐに立ちあがり、ファイティングポーズをとったものの、主審が試合終了を告げた。6RKO。李選手は応援団の方を向き、両手をあげた。

 「だんだん余裕も出てきた。防御をさらに磨けば、徳山(洪昌守)選手のようになれるだろう」と横浜光ボクシングジムの関光徳会長(65)。会場で応援していた水落義孝さん(64)は、「最高。一生懸命練習していたので、応援のしがいがあった。李選手の兄がうちの店(ふぐ季節料理店)によく来てくれる。それで応援するようになった」と破顔一笑していた。

兄の熱い視線

大きな声援を送る応援団

 客席には100人を超す「応援団」がつめかけていた。そのなかには李選手の兄、李哲理さん(35)の姿もあった。

 「非常に興奮した。今日は宴会だ」。弟の勝利を誰よりも喜んだ。しかしその表情がアボジの話になると少し曇った。

 かつて大阪で専従活動家として、引退後も非専従として尽力したアボジは今年2月22日に他界。生前、李選手の活躍に一喜一憂し、「陰で支えてくれていた」(李選手)そうだ。

 父の他界後、李選手は「アボジのために」と家族の前でよく口にしていた。それは哲理さんにとって、上を目指す弟の固い決意の言葉のように思えた。「できるだけ多くの人間を集めて応援しないと」。そのような思いはより強まった。

 「自分も冽理も民族教育を受けて育った。民族教育を受けさせてくれたアボジの精神を引き継いでいくことが、兄弟の使命」

 熱く頼りがいのある兄からリングへと注がれる視線。それは李選手の精神的支柱となっている。(文=尹蒼賢、李東浩記者、写真=盧琴順記者)

[朝鮮新報 2007.11.7]