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大阪朝高3年ぶり「全国」へ 全国高校ラグビー大阪府予選第2地区決勝

都島工業に29−24 終了間際に逆転劇

 「第87回全国高等学校ラグビーフットボール大会」大阪府予選第2地区決勝(11日、近鉄花園ラグビー場)で、大阪朝鮮高級学校ラグビー部が都島工業高に29−24で競り勝ち、3年ぶり3回目の「全国大会」出場を決めた。第1地区では東海大学付属仰星高、第3地区では大阪工業大学高が優勝した。「全国大会」は12月27日から2008年1月7日まで近鉄花園ラグビー場で行われる。(文=李東浩、写真=盧琴順記者)

息のむ接戦

揺るぎないチームワークで前へ進む大阪朝高(写真中央は12番高健二選手、高3)

 試合は前半から大阪朝高が圧倒し、主導権を握った。13分、フォワード陣が敵陣でモールを組みプッシュ、中央から7番フランカーの呉泰誠選手(高1)が先制トライを挙げた。16分には相手の狭いDFラインを突いたバックス陣が、外に開いて待っていた14番ウイングの李英圭選手(高2)にラストパス、右中間にトライを決めた。その後、ペナルティゴールを与えるも、前半ロスタイムに呉選手がまたもトライ、17−3で前半を終えた。

 後半、大阪朝高は6分に9番スクラムハーフの金成太選手(高3)がトライ。

ノーサイドと同時に歓声をあげる観客席

 しかし、8番ナンバーエイトの相手選手に3トライ(3、13、24分)を許し、それぞれゴールも決められ、逆転を許す。これで得点22−24。ロスタイムを合わせて残り時間は約6分だった。

 試合終了まで2分と迫った後半28分、敵陣左ゴール前10メートルでモール、連続ショートラックから5番ロックの張泰堉選手(高3)が左中間に執念の逆転トライを決める。

 会場はどっと揺れ、同胞らの歓喜の声が沸き起こった。13番センターの金翔太選手(高3)がゴールも決め、29−24でノーサイドとなった。

「全国」で旋風を

「『全国大会』で大阪代表としてがんばるぞ」と優勝を喜ぶ選手たち

 「弱い年代」だと評されてきた高3の選手らは試合前、ロッカールームで3年間持ちつづけてきた「全国」への思いを再確認し気持ちを高ぶらせていたという。「監督を胴上げしよう」−感極まって涙を流しながら入場する選手も数人いた。さまざまな思いが錯綜するなか、「全国」というひとつの目標に向けた揺るぎないチームワークが逆転劇を生み出した。

 「みんなで奪ったトライ。『これをとらな』と死ぬ気だった。都島工業高の分まで、そして学父母、OBらのためにも『全国』制覇したい」。逆転トライを決めた張泰堉選手はチームの結束力を自慢した。

 8番ナンバーエイトの趙顕大主将(高3)も「最後まであきらめない朝高生の気迫、闘志を見せることができた。モールをさらに強化し日本一を目指したい」と語った。

 逆転されたものの、チャンスは必ずくると、焦りはなかったと呉英吉監督(39)は振り返った。今後、見直すべき部分を修正し、「全国大会」に臨みたいという。「力と勇気を与えてくれた同胞らの応援、期待に応えたい。『全国』で旋風を起こしたい」と力強く語った。

 この日、大阪朝高ラグビー部出身でラグビートップウエストAリーグ・近鉄ライナーズ所属の成昴徳選手(24、3番プロップ)も試合を観戦した。「緊張とプレッシャーのなか、この大舞台で伝統の粘りが発揮された。『全国大会』でも、雰囲気に呑まれないよう心がけてもらいたい」と後輩らに熱いまなざしを向けていた。

 また、金弘泰選手(高3、3番プロップ)と、近畿大会決勝進出を決めた東大阪中級ラグビー部の金寛泰主将(中3、3番プロップ)のアボジ、金鍾河さん(43)は「慢心を恐れていたが、努力が実って本当に良かった。(息子2人の活躍で)親として『普通の精神状態』ではない」とビール片手に破顔一笑していた。

[朝鮮新報 2007.11.14]