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朝鮮民族、朝鮮半島を愛してやまないジャーナリストが先月、長い記者生活に終止符を打ち定年退職した。地方支局時代から、そして本社に上がり社会部、外報部(ソウル支局長)、また平壌取材など、いずれも民衆との触れ合いを通じて嗅ぎ取ろうとし、記者の命ともいえる「現場」にこだわり抜いた ▼さまざまな機会に(その中には板門店での劇的な出会いもあった)さまざまな意見交換をした。彼の持論は、筆者なりにまとめると、国に例えるなら日本には日本の気持ちがあり、朝鮮には朝鮮の気持ちがある、記者たるもの、それをわからずして一方通行の報道はすべきではないというものだったように思う ▼定年と時期を同じくして『コリア閑話』という本を出した(東方出版。TEL 06・6779・9571)。04年11月以降の、朝鮮と関連した出来事について自身の思いを綴った連載物を一冊にした ▼その最終項が「朝鮮半島とマスメディア」。昨年11月、静岡県立大学で開催された「現代韓国朝鮮学会」主催のパネルディスカッションのテーマである ▼「北朝鮮報道のあり方」について「何を言ってもいいといった状況がある…それでいいのか」(小牧・国士舘大学教授)、「いま外から見ていて怖いのは、日本のメディアがみている朝鮮問題のイメージは、よその国とずれてしまうということだ」(海外取材経験が豊富な記者)などの発言を紹介しながら、「朝鮮半島報道における底の浅さと、『みんなで渡れば怖くない』式の迎合ぶり」に警鐘を鳴らす。今後もどんどん発言してほしいと思う。(彦) [朝鮮新報 2007.3.14] |