top_rogo.gif (16396 bytes)

春・夏・秋・冬

 かつて、軍事独裁政権時代の情報機関(中央情報部、後身の国家安全企画部)による謀略・弾圧事件の調査を進めてきた南朝鮮国家情報院の「過去事件真実究明・発展委員会」は、1973年8月に都心のホテルから白昼、拉致された金大中事件について当時の大統領・朴正煕の「黙示的な承認」の下、李厚洛部長の指示によって実行されたなどとする結果を24日に発表した

▼この発表を受けて町村官房長官は、同日の記者会見で「日本国内で主権を侵害するような事件が起きたことは大変問題だ」「韓国政府からしかるべき対応があるものと思う」と発言した。加害者・南朝鮮当局、被害者・日本当局という単純な構図を描いている▼しかしこの発言、「ちょっと待て」と言いたい。事件発生当時、中央情報部の犯行であることは現場から情報部要員だった駐日大使館一等書記官の指紋が検出された事実などから指摘されてきたことだった

▼が、両当局は2回の「政治決着」によって事件の真相解明を棚上げして蓋をしてしまった。捜査を続ければ朴政権下、事実上の亡命状態にあった金大中氏の行動を監視していたとされる自衛隊情報部隊の存在や、公安機関の関与などにもメスを入れざるをえなかったからだ

▼当の金大中氏の秘書官は「優柔不断な結論」だと批判。「明確な犯罪の証拠がありながらも捜査を放棄した日本政府と、これを隠ぺいした韓国政府の両方が大きな過ちを犯した」と遺憾の意を表明した。「韓日癒着」の時代、「北(朝鮮)の脅威」を最大限に煽り利用した両当局。解明されるべき点は数多い。(彦)

[朝鮮新報 2007.10.26]