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巣立ちのとき

 民族学級の生徒たちと出逢って5年目を迎えようとしている。初めて受け持った生徒たちがこの春、中学生になる。できあがった卒業アルバムを見ながら、一人ひとりの顔を思い浮かべてみる。

 ふっくらとしたほっぺにかわいいおでこ、2つに束ねた髪が印象的だったソンファ。「私のイルム(名前)!」と言って、何度も書いては私に見せてくれた。学芸会の大きな舞台、「ソンセンニムー緊張するよー」。サムルノリで大役をこなしてくれたチュヒャン。大好きな調理実習の時間、「みんなと一緒に作って食べたからおいしかったのかなー?」

 作文を綴ってくれたユシル。「このお面、上手やなー。誰が作ったの?」「このイチゴ、おいしそう、本物みたい!」。

 歴代の先輩(講師)たちが残してくれた手作りの単語カードや教材。その出来栄えに感心しては朝鮮語を覚えていた生徒たち。友だちと肩を並べる最後の記念写真、チマ・チョゴリを身にまといながらポーズをとる笑顔がまぶしい。

 さまざまな体験の中で生徒たちは何を得たのだろうか。ありのままの自分と向き合えたのだろうか。長い歴史を持つ民族学級。この教室から巣立っていった多くの生徒たち。その姿を見守ってきた多くのソンセンニムたち。

 中等教育実施61年目を迎える民族教育。朝鮮学校とともにたくましく歩んできたもう一つの民族教育の「場」。その「奥深さ」と「重み」を噛みしめながら新たな歴史の1ページを刻んでいこう。さあ、今年はどんな出逢いが待っているのだろう。(金良江、民族学級講師)

[朝鮮新報 2007.3.17]