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現代っ子たちへ

 今年、西武ライオンズの松坂投手が大リーグに移籍した時、インタビューでこう答えていた。「夢という言葉はあまり好きではない。なぜなら、かなわないのが夢だと思うから」。

 プロ野球選手としての自信、60億というお金を動かしたアスリートならではの言葉なのか。いとも簡単に答えた松坂に「感心?」「反発?」のような気持ちにさせられた。

 きっと彼は思ったことをやりとげてきたのだろう。類い稀なる才能と彼なりの努力で。でも、ひとたびスランプに陥った時、彼の真価が問われることになるだろう。

 現代っ子には「夢」を持つ子が少ないとよく聞く。いい学校を出ていい就職先をみつけ安定した生活を得る人もいれば、フリーターをしながら適当に好きなことをやっている人もいる。

 私が子どもの頃は、習い事などできない時代だった。だからこそいろんな夢を持てたのだと思う。「乙女の祈り」の音色に感動してピアノを習いたいと思ったり、漫画が好きで漫画家になりたいと思ったり、テレビの主人公のようにバレー選手になりたくて練習に励んだり…いつも何かしら夢を追いかけていたような気がする。

 何かに感動し、あこがれる。その心がなければ夢は生まれない。だからいろんな世界を見て、見聞を深めることが大事である。それが夢への第一歩につながるだろうから。かなわぬ夢であってもいい。「少年よ、大志を抱け」。「たゆまぬ努力だけが最後の勝利を勝ち取る道だ」という言葉を今の子どもたちに伝えたい。(李英姫、女性同盟静岡、非専従)

[朝鮮新報 2007.4.7]