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同胞による同胞の介護 ホームヘルパー2級への道 −11−

実習−在宅サービス提供現場

生活を支えるため、ときに厳しく

 「競馬は好きかい?」「たまにやることはあるんですが、まったく勝てません」「よし、今日は一生懸命手伝ってくれたみたいだから、年末のレース、なにがくるのか教えてやろう。レースが終わったら私に連絡してみなさい」

 人生の先輩には、まったく敵わないと感じた今回の在宅サービス提供現場での実習。多くの場合、利用者とヘルパーの関係は1対1となり、より生活に密着したサービスが求められることになる。

 在宅でのサービス提供時に重要なことは、その家にある設備を使うことになるため、なんでも利用者に伝えて勝手に使うことがないようにすること、そしてガス、電気、鍵など利用者の立場で使用するようにすることだ。また、使用後はもとの位置にしっかり戻すことも必要だ。

 「ドロボーに入られたとまちがわれることもある」と訪問先の担当ヘルパーは強調した。

 実習では2軒のお宅を訪問し、清掃と調理を行った。

 掃除機をかけながら、家族の話しや昔話を聞いた。ちなみに現在は「大掃除」や「庭掃除」は介護保険適用外で、サービスと認められないことからヘルパーが手伝うことはできない。QOL(quality of life、生活の質)はどうなるんだという疑問は未だに残る。

 「ちょっとヘルパーさん、湯のみを取って」

 言われるままに手渡すと、担当のヘルパーに注意を受けた。

 「自分でできることは自分でやるように、接しないといけない。でも今日はいつもよりにぎやかだったから甘えたかったのかしら。今日だけはしょうがないかな」

 利用者のためを思うのなら、ときには厳しさも大事だ。介護する側も受ける側も人間である以上、厳しさを与え、受け入れるための信頼関係を築かなければならない。

 医療費や保険制度の見直しと関連し、今後病床は削減される向きにある。そうなれば、このような在宅での介護を求めるケースは増えていくことになる。どのように自立を支援していくのか、現場のヘルパーたちはいつも頭を悩ませていた。

 (次回は、介護老人保健施設での最後の実習。初めての食事介助。そして将棋の真剣勝負に「まいりました」)

(鄭尚丘記者)

ワンポイントレッスン 実習記録から

 お疲れ様でした。独居の男女利用者の生活援助ケアに同行していただきました。利用者に対する声かけもケアには重要なこと。短い時間でしたがヘルパーがどのように接しているかなど、訪問介護におけるヘルパーの役割をご理解いただけたと思います。(実習施設より)

[朝鮮新報 2008.2.8]