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「自然にオッケチュムが」

 山口県内の下関・宇部・徳山の3地域で「響(ヒャン)」という朝鮮舞踊教室が開設されている。

 同胞社会でも少子化が進み一部で朝鮮学校統廃合が行われている。

 「同胞トンネ」で育ち、多くの同級生に囲まれた学生時代を送り、1クラス30人を超える朝鮮学校で教鞭をとっていた教室主催者が嫁いだ山口県も例外ではなかった。

 出産、育児の真っ只中でふと感じた疑問、「わが子をどのように育てたいのか」。何よりも先に浮かんだ答えは「朝鮮人(チョソンサラム)として育てたい」。

 誰かがアクションを起こしてくれるのを待っている時間はないと「自分にできること」を探した結果が朝鮮舞踊を教えることだった。「技術」の習得よりも「民族の伝統」を伝えることに重きを置いた。

 「バレエより朝鮮舞踊を習わせたい」。同じような思いを持つ「オンマ」たちが子どもと共に教室に集まった。月1回の合同レッスンに、車で片道2時間も要しながら通う親子もいる。朝鮮学校、日本の学校と学ぶ場は違うが教室ではみながチャンダン(朝鮮のリズム)に合わせて朝鮮舞踊を踊っている。

 現役を退いて幾年も経ってから朝鮮舞踊を教えることについて、「もし地元で嫁いでいたら考えていなかったかもしれない」と彼女はいう。

 「子どもたちにとって今はまだ稽古事のひとつ。5年、10年後、自然にオッケチュムが出るようになるかな」と語る眼差しは真剣だった。(陽)

[朝鮮新報 2008.5.26]