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朝大野生生物研究室1周年記念 「北東アジア希少動物保全国際シンポ」

北南共同で力あわせ保護を

 朝鮮大学校野生生物研究室創設1周年記念「北東アジア希少動物保全国際シンポジウム(主催=同研究室)が18日、同校の記念館講堂で開かれた。在日同胞をはじめ南朝鮮や日本、米国、中国の鳥類研究者、自然保護団体関係者、大学および研究機関関係者、動物園関係者ら70余人が参加した。シンポでは、1年間の同研究室の活動報告と、06年11月に開催された朝鮮大学校創立50周年記念「アジアの渡り鳥保護国際シンポジウム」で討議された案件の中間報告が行われた。

合同研究、調査に調印

シンポでは、多岐にわたる研究、調査結果が発表された

 シンポではまず、朝鮮大学校自然科学研究所の金漢泰所長があいさつをし、バードライフ・インターナショナルの市田則孝副会長が祝辞を述べた。

 つづいて同研究室の鄭鐘烈室長が、1周年報告を行った。報告では、上野動物園や多摩動物公園などの園長や飼育士たちとの面談をはじめ、10月には南朝鮮の江原道華川郡で「ICUN第10回国際カワウソ総会」、11月には中国の遼寧省盤錦市で「北東アジア地域ツル類の生殖地を保護するための国際ワークショップ」など希少動物を保全・保護するための活動が活発に行われたと発表された。

 とくに、昨年8月29日平壌で調印された国家科学院生物分院、生物多様性および生態技術研究センター、同研究室間の希少動物保護に関する合同研究の合意書と、10月13日に南朝鮮で調印された韓国野生動物研究所、韓国カワウソ研究所、華川郡、同研究室4者間の「北漢江水系に生息するカワウソの保護関連北南共同調査・研究協約書」は、これから北南が共に研究を進めていくための糸口をつかんだ意義深いものであり、大変喜ばしいことだと強調した。

 また、絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの人工繁殖の結果、今後のプロジェクトなどが発表された。

 最後に台湾のテレビ局が今年5月に取材し、製作中の鄭室長とクロツラヘラサギに関するドキュメンタリー番組の短編が流された。

 シンポを終え鄭室長は、「私たちが北と南に行き、第3国で北南の研究者らが集うことができた。これからは北南共同で研究を進めていく。次は互いのフィールドや朝鮮大学校で3者が集える場を設けたい。そのためにも、今できることを着実に推進していきたい」と力説した。

多岐にわたる研究

報告に聞き入る参加者たち

 シンポでは、「アンビョンプロジェクト」(ジョージ・アーチボルト=国際ツル財団創始者)や「ボン条約におけるヒガシシナアジサシ、クロツラヘラサギ、ヘラシギの保全戦略」(クリスティ・ノザワ=バードライフ・アジア代表)、「朝鮮半島でのノガン復元」(李一範=大田動物園種保全センター所長)、「多摩動物公園野生生物保全センターの報告」(冨田恭正=同センター長)など「生息地内保護」と「生息外保護」の2つの保護法について多方面に渡る研究、調査結果が報告された。

 「平和の大使、DMZカワウソプロジェクトの南北共同研究」について発表した韓国カワウソセンターの韓盛庸所長は、「60余年もの間、手がつけられていないDMZ(非武装地帯)区域には、優れた自然生態系が残っている。これを南北共同で研究し、民族あるいは人類の遺産として残すべきだ。動物から人へ平和の土台となれば」と述べた。

 愛媛大学大学院博士課程の韓昌道さんは、「同研究室が創設され、1年間に北南間の自然保護に関する共同研究が本格的に進んでいる。まさに在日同胞が祖国統一のかけ橋となっている」と話した。

 韓さんは、翌日から1カ月間、カワウソの生態および分布調査と昆虫研究のため朝鮮へと発った。「朝鮮半島の自然保護のために一役買いたい」と力強く語った。

 シンポ後、参加者らは同校の講堂前で七輪を囲み焼肉を楽しみながら、交流を深めた。(文=姜裕香、写真=尹蒼賢記者)

[朝鮮新報 2008.6.25]