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「チョムシム」記者

 平壌支局員たちの食事は、基本的には支局のある平壌ホテルの食堂で済ませるのだが、支局に赴任して1カ月間、昼食のほとんどを外で食べている。こう書くと、単に外食を重ねているだけだと思われるかもしれないが、「本当の外食」以外は、全てタダで振る舞われたものだ。

 とある工場を取材で訪ねた時のこと。朝鮮では、6月初旬の食糧事情が1年の中でも苦しい時期だそうで、取材中に、「今一番、頭の痛いことは何ですか?」と尋ねると、技師長は「工場員たちの食事の問題」と語った。

 取材を終え帰り支度をしていると、「昼食を」と勧められ、ごちそうになることに。国内の報道陣も居合わせていたこともあり、席を共にしながら、昼から酒を振る舞われての宴になってしまった。

 女性支局員が、「2012年に、カンの苗字の男性と結婚して、子どもの名前をソンにして、次に生まれてくる子はテグクとつけたい」というお得意の結婚話で場は大いに盛り上がった。「食糧事情が厳しいのでは…」と思いつつも、箸は一向に止まらなかった。

 それ以外にも、本社発行の月刊誌「イオ」の取材を兼ねて訪れた飲食店でごちそうになったり、「日本から来た同胞記者」だからと食事を振る舞ってくれたり。

 取材のたびにあまりにも昼食を振る舞われるため、支局員や朝鮮の知人たちに、「チョムシム(昼食)記者」なる呼び名を付けられてしまった。

 朝鮮の人たちの温かさを、あらためて感じている今日この頃である。(茂)

[朝鮮新報 2008.6.30]