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四国で唯一のウリハッキョ

 先月末、取材で愛媛県松山市を訪れた。約1年ぶりの訪問。空港に降り立った時、「帰ってきたー」という思いがにわかに込み上げてきた。というのも、記者は以前、四国朝鮮初中級学校で教べんを執っていたからだ。

 学校に赴き、さっそく担任を受け持っていたクラスをのぞくと、生徒たちは突然の再会に驚き、と同時に、笑顔で迎え入れてくれた。当時は初級部2年生だった彼らも、もう4年生。背も伸び、すっかり「少年団」の一員らしくなっていた。

 とくに、2年生から編入してきた生徒の成長ぶりには感嘆した。当初は慣れない学校、寄宿舎生活にとまどっていたのか、手を焼いたことも多々あった。しかし、たどたどしかったウリマルも、今ではみなと同じように使い、あんなに遅かったノートの書き取りも、ウリマルですらすら書き取るようになっていた。よく涙をこぼしていた当時とは違い、上級生としての風格が見て取れた。たった1年。彼のがんばりと共に、民族教育のすばらしさをあらためて感じた。

 四国4県、唯一のウリハッキョ。その「息吹」は、同胞らの手によってしっかりと守り続けられている。たとえ規模は小さくても、23人の生徒たちは、のびのびと豊かに学んでいる。

 校舎からふと外を眺めると、学校の象徴でもある、大きな銀杏の木が目に留まった。まるで、この地にしっかりと根付いている民族教育に倣うかのように、その木もまた、立派に根付いていた。いつまでも民族教育の「息吹」が消えぬよう、温かく見守っていてほしい。(裕)

[朝鮮新報 2008.7.7]