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同胞生活奉仕福祉 連続基礎講座2回目 同胞生活相談 「真心できき」、連携して解決を

 「トンポアイネット拡大21」を活発に展開するための同胞生活奉仕・福祉事業に関する専門家、有資格者らによる連続基礎講座(総連中央権利福祉委員会主催)の2回目が7月26日、東京・上野の朝鮮商工会館で行われた。今回のテーマは「生活相談事業の効果性を高めるために」。

相談事業、より活発に

蘇汶Qさん

 総連は1999年9月の朝鮮総連中央委員会第18期第3回会議拡大会議を契機に、同胞の日常生活におけるさまざまな問題について相談を受け、同胞社会のネットワークを通じて解決をサポートする常設的な相談窓口として、各地の総連支部などに同胞生活相談総合センターを設置。各センターでは、各種法律、経営、福祉、行政手続きに関する相談や冠婚葬祭、就職斡旋、民族結婚、祖国訪問、教育、文化など、幅広く相談を受け支援してきた。問題解決に導く手順や専門家との連携など相談事業の体系を同胞の生活ニーズに即して整えていくことがよりいっそう求められている。

 そうしたなか、センター本来の役割を発揮し同胞生活奉仕・福祉事業を活発化するきっかけにしようと、今回のテーマが設定された。

 この日は、総連西東京・中部支部委員長の蘇汶Qさんが東京・立川、昭島市など5つの市を管轄し、7割以上の解決率を達成している西東京・中部センターの事業内容と実践について、NPO法人静岡ピアサポートセンター相談支援員の李恵順さんが障がい者を対象に本人や家族の福祉に関するさまざまな問題について相談を受け解決にいたるまでの一連の流れや注意点、ポイントについてそれぞれ経験を語った。

「きく・メモ・連携」

 「生活相談事業はまさに同胞の民族的尊厳と権利を守る実践活動」と強調する蘇さんは、相談を受ける側が当事者意識を持って認識を統一させ互いに協力することが必要だと語る。そのうえで実際に使用している「相談カード」を提示し、「きく」「メモをとる」ことが何より重要だという。そして、「聞く」よりも「聴く」、つまり「真心で一生懸命にきく」ことが大切だとし、これが相談者に安心感を与える大事な行程だという。

李恵順さん

 中部支部ではこうして受け付けた相談案件を、人権協会や商工会、連携を持つ弁護士、司法書士などの専門家の協力を得て解決を図っている。インターネットを通じて同胞法律・生活相談センターの協力を得るシステムも確立している。また、分会長や各団体の活動家らを網羅した相談員会議を定期的に開き相談案件に的確に対応しており、ホームページの運営、400部の情報誌発行など同胞の生活上の悩みを幅広くキャッチし、つなぎ、解決するまで見守っている。

 蘇さんは、問題が複雑になったあとで相談にくることが多いとして、切実で個別的な案件に的確に対処するには、専門家との連携の下で組織的、持続的な活動で解決まで誠心誠意取り組み信頼を得ていかなければならないと強調する。

 こうした同胞生活相談総合センターの活動に共感を示す李さんは、よく知っている支部委員長や身近な相談機関に相談することは安心につながると指摘。「同胞の力、組織の力、地域の力」で、日常の関わりを通じて同胞の問題や困難に気づき関係機関につなげる「つなぎ合い」で共に支えあうことが大切だと語る。そうした連携を一層一層丹念に焼き上げるバームクーヘンに例え、相談員は人脈と情報力を武器に丁寧に取り組まなければならないと語った。

 李さんもまた「傾聴、受容、共感」のキーワードを挙げ、相手の話に心から耳を傾け相手の思いを同じ思いで受け止めることが必要だと強調する。そしてフェイスシート(最初の段階で作成する相談内容の概略、主訴などを整理する書類)に客観的に記録し、情報を保存・共有している実戦経験を語る。

 静岡ピアサポートセンターで相談員として活動している李さんは、障がいが実際の生活場面でどれだけの差し障りになっているのか、どれだけ不便なのか、それを解消する環境があるのかないのか、これらを調べ、好環境を作り出すよう「つなげる」ことで、障がい者本人やその家族を支援している。

 30年間、朝鮮学校で教員を務めた李さんは、福祉や障がいについての知識と環境の不足から生じた誤解や軋轢を実例で示しながら、「冷たい頭、温かい手」で支えあうことが大切だと語る。

 両氏は、何よりもまず相談者が直面している問題の本質となる部分を素早く見抜くことが支援へのとっかかりとなることを再三強調した。

 連続基礎講座の3回目は8月23日(土)、14時から同会館で行われる。テーマは「子どもとセセデ家庭に対する支援事業において必要な視点、課題」。(泰)

[朝鮮新報 2008.8.4]