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イマージョン教育

 朝鮮学校を訪れた日本人が、幼い生徒たちが朝鮮語で会話するのを聞いて驚く、ということをよく耳にする。

 朝鮮学校で行われる朝鮮語教育は「イマージョン教育」と言える。イマージョンとは、母国語以外の言語を媒介とした教育で、その概念が確立されたのは60年代のカナダだ。朝鮮学校では、それ以前から前衛的な言語教育を行っていたことになる。もちろん当時は、1世が身近にいたため、外国語教育とは異なるが、現在の朝鮮学校で学ぶ子どもの言語環境から考えると、「外国語」を習うのとなんら違いはないともいえる。そのため朝鮮学校では、言語習得の一環として、「ウリマル(母国語=朝鮮語を指す)100%運動」を繰り広げるわけだ。

 所変わって、平壌外国語学院。外国語の専門教育機関で、朝鮮学校でいう高級部に相当する年齢の生徒たちが学ぶ。

 そのロシア語講座の取材中、とあるハプニングが。急きょロシア人が現れたのだ。正確にはロシアで生まれ育ち、現在英国に住む女性で、ある国会議員の補佐官をしているとのこと。まだロシア語を学び始めて3年も満たない、中には数カ月の生徒が、スラスラとロシア語で会話する姿に彼女も驚いた様子だった。

 その高い言語能力の習得に一役買っているのが、「ロシア語100%運動」だという。講義はもちろん、講義以外の学校生活での生徒同士の会話はすべてロシア語だという。ちなみに「100%運動」は、中国語講座でも行われているそうだ。

 その話を聞きながら、朝鮮学校のウリマル教育を連想した。(茂)

[朝鮮新報 2008.9.1]