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08「在日朝鮮人歴史・人権週間」まとめの会 来年のテーマは朝鮮人強制連行、年金問題

朝・日の若い世代に広がり、参加者は昨年の倍に

特別賞、優秀賞、奨励賞がそれぞれ授与された

 2008「在日朝鮮人歴史・人権週間」のまとめの会が7日、総評会館(東京都)で行われ、関係者が参加した。関東大震災朝鮮人虐殺と1948年教育闘争、民族教育の権利をテーマに、歴史的事実を法的な視点から再検討することによって在日朝鮮人の人権課題を明らかにした今年の「歴史・人権週間」では、朝・日の若い世代による真剣な取り組みがみられた。会では各地の活動が紹介され、2009年の活動計画が提案された。

 会ではまず、朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進・朝鮮人側中央本部事務局長が2008年(前期、後期)の各地における活動を振り返った。

 教育闘争関連集会中心の前期は8都府県で14行事に2353人、関東大震災関連集会中心の後期は6都府県で15行事に3235人が参加し、「5588人という参加者総数は昨年の倍以上で、幅が一気に広がった」と指摘した。

 とくに、8月末に埼玉で行われた全国集会で、関東大震災における朝鮮人虐殺がジェノサイドであるという法的見解が国際法に基づいて分析された点について強調した。

 また、来年2009年度の活動案について言及し、現在の在日朝鮮人をとりまく状況が過去の歴史的経緯と分離できないという見地から、@「在日朝鮮人歴史・人権週間」の意図と必要性についてさらに広く浸透させていくA「朝鮮人強制連行」問題を主要テーマとして取り上げ、重大な人権侵害であることを幅広く知らせ、年金問題などの改善を図るB青年学生団体および、特に高校生グループの取り組みを奨励していく−ことなどを提案した。

 つづいて、歴史・人権奨励賞の審査委員会報告と受賞団体を調査団の寺尾光身・日本人側共同代表が発表した。特別賞には日朝友好九州学生の会、優秀賞に留学同兵庫とDVD「4.24の魂」を製作した朝青兵庫県本部、兵庫県青商会、留学同兵庫、また奨励賞に留学同埼玉が選ばれた。

 日朝友好九州学生の会は、民族教育を取り巻く問題を中心にし、なかでも1948年教育闘争、朝鮮学校をテーマに1年間活動してきた。

 @日本と朝鮮半島の歴史をしっかり学び、A証言を聞き取り資料として残し、B歴史から現在を見つめアクションを起こすことを活動の軸とした。2月の九州朝鮮中高級学校訪問を皮切りに、1948年教育闘争のあった山口・下関市でフィールドワーク、学習会、証言聴取などを行い、8月末には日朝友好学生の会訪朝団の一員として2人が朝鮮を訪問した。

 同会事務局の徐麻弥さん(留学同九州委員長)は、「現在も続く朝鮮学校を取り巻く問題に目を向け、私たちにできるアクションを起こし、朝鮮学校の差別的処遇や在日朝鮮人の人権蹂躙問題など今後も広く訴えていきたい」と話していた。

 留学同兵庫は、フィールドワーク、学習会のほかに、旧厚生省が作成した名簿「朝鮮人労務者に関する調査(兵庫分)」の1万3627人分(昨年の12倍)を整理し論文を執筆した。

 留学同埼玉は、関東大震災の朝鮮人虐殺についてフィールドワーク、学習会、写真展などを開催し、他の場所に移され放置されたままだった慰霊碑の虐殺現場への展示要請などを行政との間で進め、論文を作成した。

 総連中央の高徳羽副議長兼権利福祉委員会委員長(調査団朝鮮人側中央本部代表)が、今後の活動にいっそうの励みになればと記念の盾と賞金(特別賞20万円、優秀賞10万円、奨励賞5万円)を授与した。高副議長は「歴史・人権週間を通じ、各地域で在日朝鮮青年、日本の青年が手を取り合った研究、活動が多彩に展開されつつある。こうした活動をもっと広げていくべきだ」と語った。

 「在日朝鮮人歴史・人権週間」全国実行委員会の清水澄子共同代表(平和フォーラム副代表)がまとめのあいさつをし、「日本が真の民主主義国家になるよう、われわれは『歴史・人権週間』という名の意義を今一度考え、若い人たちとともに真実の歴史を作っていこう」と強調した。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2008.11.12]