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日比谷公園使用許可取消訴訟 第10回口頭弁論 都、防止策とらず取消処分

都側証人、「混乱」の外部要因認める

 2007年3月3日に行われた「3.1人民蜂起88周年在日本朝鮮人中央大会」の会場となった東京都立日比谷公園大音楽堂の使用承認が、直前になって違法に取り消されたとして、総連中央が東京都と取り消しを指示した石原慎太郎都知事らに対し損害賠償を求めた訴訟の第10回口頭弁論が7日、東京地方裁判所で開かれ、当時の都建設局公園緑地部公園課長に対する証人尋問が行われた。

 同氏は当時、総連への会場使用許可を取り消すよう都側に求めた右翼団体の来庁、電話による抗議や「(集会の会場に)突っ込む」などの脅迫を受け、集会で混乱が生じ負傷者がでることを懸念し使用許可を取り消したと経緯について証言。予見した「混乱」の要因となりえたのは右翼団体の行動であって集会主催者側にないことを認めた。

 だが、「突っ込むのを制限するために警備について警察と協議すべきではなかったのか?」との原告側の質問には返答を拒んだ。

 また、都が電話による抗議を受けた直後からすでに「使用取り消しのための判例調査」を行っており、しかも日比谷公園ではなく他の施設の前例を調査していたことが証言から確認された。

 最高裁の判例によると、公の施設の使用を制限できるのは「警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合」(最高裁第二小法廷平成8年3月15日判決)に限られる。

 つまり、「混乱」を予見しながらも具体的に調査せず、過剰な抗議行動を制限するために警察と協議することもなく、使用許可を一方的に取り消した都の処分は、集会を事実上妨害するものであり、日本国憲法が保障する集会、表現の自由に対する違法な侵害だ。

 また、都側はこれまで「集会の主催団体は実行委員会であって総連ではない」と主張してきたが、実際には同課の職員が総連中央会館を訪れ総連職員らと協議し名刺交換までしており、その事実について同氏が報告を受けていたことも確認された。

 原告側は、都が「(取り消し処分の)違法性を知りながらあえて処分した」こと、「処分の必要性を裏付ける客観的証拠が当時、存在していなかった」ことなどから、初めから集会自体を阻止しようとする意図の決定、指示があったと見ており、取り消し処分の「最終責任を負うべき」石原都知事らの責任を追及し出廷を求めている。

 次回は11月18日に行われる。(泰)

[朝鮮新報 2008.10.15]