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立川朝鮮学校支援ネットワーク「ウリの会」1周年 フィールドワーク&シンポ

保護者が心情吐露 「わたしたちと朝鮮学校」 「朝鮮学校は同胞の命」

1年間の活動で、通学路に3つの看板(上)と安全ポール(下)が立てられた

 朝鮮学校を取り巻く諸問題を、日本の市民らを含めた地域全体で「ウリ(私たち)の課題」として捉え、地道な活動を行っている立川朝鮮学校支援ネットワーク「ウリの会」結成1周年記念フィールドワーク&シンポジウム&交流会「わたしたち(ウリ)と朝鮮学校」が3月8日、東京都立川市の西東京朝鮮第1初中級学校で開かれた。

 「ウリの会」は昨年2月、「日野補助金減額に反対する会」「タリの会」「八王子助成金を実現する会」「朝鮮学校に教育保障を! オッケトンムの会」「チマ・チョゴリ友の会」、同校アボジ会、オモニ会の7つの団体が力を合わせて結成した。そして、結成直後から「朝鮮学校周辺の通学路の安全対策改善問題」に取り組んできた。

 「タリの会」代表の平野慎一さんは、「通学路の安全は、児童・生徒の命に関わること。立川市の朝鮮学校に対する認識を確認できる」と話した。署名運動と立川市(道路課)への要請活動の結果、この1年間に通学路に3つの看板を設置し、学校外壁前に3本の安全ポールを立てる成果を遂げた。

 この日はシンポジウムに先立ち、JR南武線・西国立駅前に22人が集合して、「通学路はどうなっている?」と題したフィールドワークを行った。

 シンポジウムには、大沢ゆたか・立川市議会議員、重松朋宏・国立市議会議員、井上むつ子・八王子市議会議員を含む同胞、日本市民ら約80人が参加。「ウリの会」の活動報告に続き、朝鮮学校保護者たちからの発言が行われた。

保護者の思い

シンポジウムの様子

 西東京朝鮮第1初中級学校の保護者の一人である田美由紀さんは、「上の息子2人(長男・朝高卒業、次男・中2)を朝鮮学校に送った。しかし末の娘(初1)の時は朝鮮学校に入れるかどうかを迷った」と打ち明けた。

 「保育園の親同士仲が良かったし、朝鮮学校のオモニたちの中に親しい人もいなかったので、母親が学校行事に笑顔で参加できないのなら、娘は日本の学校へ入学させようと準備を進めていた。そんなある日、長男が『日本学校へ入れたら家族がバラバラになってしまうよ』と言った。自分のエゴに気づかせてくれた一言だった。長男はこの春、朝高を卒業した。娘のためにも早く良い社会になることを願っている」

 また、町田市にある西東京朝鮮第2初中級学校に子どもが通う傳崎千登世さんは、次のように話した。

会場からの発言

 「私の父は敗戦後、たった一人で日本で生きていくため帰化をした。そして、日本人の母と結婚。私は日本人であることに何の疑問も持たずに暮らしてきたが、20歳のとき、母から父のことを聞かされた。なぜ朝鮮人だということを隠さねばならなかったのか、国、民族、言葉、家族、名前すべてを失い、日本人にならねば生きることのできなかった父があまりに悲惨に思えた。以来私は、何のために生まれてきて、自分の価値はいったい何なのかを求め続けてきた。夫の転勤で大阪から横浜に引っ越してきて、神奈川県内で開かれたあるコンサートで、偶然、西東京朝鮮第2初中級学校の児童とめぐり会った。5年生だった長女が朝鮮学校の子どもたちと一緒に『故郷の春』と『臨津江』を歌ったことをきっかけに、同校の学芸会を参観し、自分の民族、言葉、文化を愛することができるということがどれほどすばらしいか、父と私が2代で失ったものを、3代目の娘で取り戻すことができる! と、朝鮮学校への編入を決心した。長女が6年、次男が新1年生として昨年朝鮮学校に入学した。1年間学校行事に参加して、在日同胞にとって朝鮮学校は命のようなものだということを知った。苦しい状況の中でも学校が存在し続けている背景には、同胞たちの家族愛、同胞愛、団結力がある。これは日本人が持つものとはまた違う。多くの愛と支援の中で子どもたちが育っていることに感謝している」

各議員の発言

 保護者たちの発言を聞いて、大沢議員は、「子どもを朝鮮学校に通わせている保護者の思いをさまざまな立場の方から聞いた。帰化して2代続けて日本国籍であったが、3代目の子どもを朝鮮学校に通わせているお母さんの話はとても感動的だった。自治体の教育支援予算や交通安全対策についての話も、各地の自治例が出てきて盛り上がった。補助金については、いろんな動きがある中、出していけるよう、形を整えていくのが良いと思っている」と話した。

 重松議員は、「補助金には2つの流れがあって、ひとつは弱い者いじめのようになっていること、そしてもう一つは、各自治体が財政的に厳しいということだと考えられる。そんな中、朝鮮学校の位置づけが曖昧なままだといけない。朝鮮学校は在日の子どもたちが民族的な文化や歴史や言語などをきちんと学べる大切な場である。当面のことも大切だが、子どもたちの学ぶ権利を踏まえたうえで、きちんとした位置づけが求められる」と熱く語った。

 また、井上議員は、「八王子は朝鮮学校に対する助成金を出していない。毎年要望を出しているがなかなか動かない厳しい現実がある。そうした現状の中でどのように取り組んでいくかが課題だ」と述べた。

 集会では、朝鮮への「経済制裁」を解除し、在日朝鮮人に対する人権侵害中止を求める共同アピールへの賛同・署名も行われた。「ウリの会」では今後もそれぞれの団体と連帯し、朝鮮学校を巡る諸問題に取り組んでいく。(文=金潤順、写真=文光善記者、※文中の学年は昨年度)

[朝鮮新報 2008.4.18]