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〈第8回朝大同窓会奨励賞〉 J1・川崎フロンターレ選手 鄭大世さん(体育学部4期生)

サッカー界で名とどろかせ

 現在、J1・川崎フロンターレで名を轟かせている鄭大世選手は、1984年3月8日、愛知県で生まれ、愛知第2初級、東春初中、愛知朝高を経て、朝鮮大学校体育学部を卒業、2006年3月に同チームに入団した。

 幼い頃からプロサッカー選手になる夢を抱いていた鄭さんは、サッカーの練習に人一倍情熱を傾ける少年だった。朝大に進学後、「朝大からでプロ1部リーグに入る」という明確な目標と、「朝鮮の国家代表選手として活躍したい」という夢に向かって厳しい練習に明け暮れた。

 J1入団から3年。鄭さんはずば抜けた身体能力とパワフルなシュート、強い精神力と大胆さを武器に中心選手として活躍している。通算、J1リーグ戦68試合出場24得点、カップ戦(ナビスコ杯、天皇杯)18試合出場8得点、ACL(アジアチャンピオンリーグ)7試合出場2得点の高実績を上げている。2008年度J1リーグ戦では現在、11得点で得点順位3位をキープしている。(10月末現在)

 また、2007年6月「第3回東アジアサッカー選手権2008」予選大会で初めて国家代表に選ばれ出場、8得点をあげ得点王に輝いた。2008年には、同選手権本選に出場し、2得点で再び得点王を獲得した。

 そんな鄭さんの姿は、在日同胞のみならず、北と南、海外の同胞や子どもたちにも力を与えている。それはまた、鄭さんの力の源でもある。

 しかし、ここまでの道のりは、決して容易なものではなかった。プロ生活1年目は、公式戦に出場できない日々が続き、人知れず悔し涙を流したこともあった。プロの世界でやっていけるか不安に苛まれることもあった。

 そんな時は心の支えである家族や恩師、親友からアドバイスを受けながら、居残り練習をしたり、たゆまぬ努力を続けた。その結果、今の成功を勝ち取ったのである。

 「不安や悩みがあったから努力したし、その努力があったからこの舞台に立てた」

 その過程で、技術や戦術の向上だけではなく、「民族の魂を表現するプレイ」ができるようになったという。それは、民族教育によって育まれたものだと、心からの感謝を口にする。

 鄭さんにとって国家代表とは「国のためにたたかい、また自身の存在を誇示する場」だと断言する。

 ナショナルチームでプレイする度に、朝鮮の選手たちは他のチームにはないたくましい精神力を持っている、と感じている。

 去る10月15日にイランで行われた「2010FIFAワールドカップアジア最終予選」での対イラン戦。1−2で惜敗した時は悔しくて仕方がなかったが、チームのため献身的なプレイができたし、何よりも今まで以上にメンバーとの強い一体感が感じられたという。「どんなことがあっても、このチームで必ずワールドカップに出場する!」という決意がよりいっそう強くなったと振り返る。

 「才能より努力がもっと大切」。鄭さんは、後輩たちがサッカーのみならず、多種多様な舞台で活躍することを願っている。

 そして今日の受賞を糧に、「ワールドカップ出場を目指して走り続ける」と熱い思いを吐露した。(姜裕香記者)

[朝鮮新報 2008.11.7]