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〈第8回朝大同窓会奨励賞〉 臨床発達心理士 成基香さん(師範教育学部音楽科41期生)

朝大生と障がい者つなぐ

 成基香さんは02年、同胞障がい者たちの音楽サークル「Tutti(=音楽用語・伊語で『みんな一緒に』の意味)」を立ち上げ、今日まで多くの同胞たちと朝大生、障がいのある同胞や子ども、その家族と共に喜びと悩みを分かち合ってきた。

 1978年兵庫県で生まれ、初級部から民族教育を受けてきた成さんは99年3月、朝鮮大学校師範教育学部音楽科を第41期生として卒業。同年4月に朝鮮大学校研究院に入り、音楽療法と障がい児教育を専攻した。また、「学習障がい(LD)をもつ子どもへの作文支援」をテーマに、東京学芸大学大学院の修士課程、博士課程で研究し、昨年9月に朝鮮大学校師範教育学部(2年制)を卒業した女性としては初の東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科の博士学位を取得した。

 研究を進める過程で同胞障がい者とその家族と出会い、彼らの朝鮮人として同胞社会で堂々と暮らしたいという願いに接した成さんは、障がいのある同胞たちが地域同胞社会に参加する機会や場を意識的に設ける必要性を感じたという。そして02年、多くの人たちの助けの下で「Tutti」を発足するに至った。

 「Tutti」発足後は、毎月1回のチャンダンノリとリトミック、楽器の練習を行いながら、同胞障がい者と朝大生たちの交流を深めてきた。

 初めは18人の朝大ボランティアと4人の障がい同胞で始めた活動は、今では卒業生を含め100人を超す朝大ボランティアと20人の同胞たちが参加するまでになった。

 昨年2月に開かれた「Tutti」5周年記念コンサートは、初めての同胞障がい者たちによる自主公演だった。ここに約600人の同胞たちが参加し、涙の中で同胞障がい者と同胞社会とをつなぐ新しい道を切り開いた。

 成さんは、「こうした活動を通して、これから地域同胞社会で活動して行く朝大生たちが、同胞障がい者たちと触れ合い、彼らの声に耳を傾けてくれたこと、そして、彼らが卒業後、各地域で障がいのある同胞たちを大切に思ってくれることが何より嬉しい」と語った。

 彼女は現在、臨床発達心理士として東京都立よつぎ療育園で働く一方、朝鮮大学校教育学部で「精神保健学」と「障がい児教育」の講義を行っている。また、研究活動を通して得た知識と経験をいかし、日本各地の朝鮮学校を訪れ、障がいのある子どもたちの個別指導と、教員への障がい児教育指導を行っている。朝鮮学校教員たちの中央教育研究大会でも「障がい児教育」分科のアドバイザーとして発言し、朝鮮学校における障がい児教育発展のため積極的に取り組んでいる。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2008.11.7]