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「ユニバーサル駅伝」に朝鮮学校生徒が参加、助け合う大切さ学ぶ

チームごとに目標タイムなどを相談

 「第1回おおたユニバーサル駅伝大会」が2日、東京都大田区の平和島公園で行われ、東京朝鮮中高級学校の中級部2年生20人と東京朝鮮第3初級学校の生徒ら7人が参加した。

 同大会は、NPO法人「おおたユニバーサル駅伝協会」が主催したもので、代表を務める李節子さんの呼びかけで朝鮮学校の生徒らも参加することとなった。

 李節子さんは、朝鮮大学校で講師を務めるかたわら、年齢と性別、国籍、障がいの有無にかかわらず誰もが自分らしく生活できるユニバーサル社会を目指した活動を行っている。

 「ユニバーサル駅伝」は、「違いを認め合い、互いを尊重したうえで支えあう共生社会の心地よさを、スポーツを通して体験する」イベントで、これまで7回にわたって行われてきた。

 参加者らは、当日に編成された小学生、60歳以上の人、視覚障がい者、車椅子利用者、フリースタイルの5人がひとつのチームとなり、伴走の中高生3人とチームマネージャー2人(大学生)がサポートしながらたすきをつないでいく。

 また、タイムを競うのではなく、各チームが事前に話し合い、チームの名前から走る順序、総合目標タイムを決めて申告し、それぞれの総合タイムに合わせて走る。東京中高の生徒らは伴走者として、東京第3初級の生徒らは小学生ランナーとして約1キロの区間を走った。

 大会では、チーム編成が行われた後、開会式と準備体操、競技が行われた。また、競技終了後は昼食を皆でとり、パラリンピックメダリストのコメント、手話を交えて「サザエさん」の歌を歌ったりした。

 表彰式では、「ピッタリ賞」や「偶然タイム賞」など、参加した全20チームが表彰された。

 東京中高教員の゙良淑さんは、「大学時代にチームリーダーとして参加し、とてもよかったので教員になってからも毎年、李節子先生に連絡して生徒の参加を申し込んでいた。しかし、毎年学校行事や部活の試合と重なり実現できず、今年ようやく参加することができた。私自身も今回、ボランティアとして参加し走務員を務め沿道から声援を送った。普段の学校生活では見ることのできない生徒たちのいつもとは違う自然な笑顔を見ることができてエネルギーをもらった」と感想を述べた。

参加者から「ありがとう」の電話

 大会翌日、東京中高に大田区のある視覚障がい者から電話がかかってきて、次のように話した。

 「競技が終わった後、伴走してくれた子に感謝の気持ちを伝えたくて周りの人に探してもらったが、その生徒は帰った後だった。私の伴走をしてくれたのが朝鮮学校の生徒だと聞いたが、私は目が見えないのでその子が13歳の男の子ということしかわからない。60歳の私と伴走するのは疲れただろうに、その子はとても親切に話しかけてくれた。どうしても『ありがとう』の一言が言いたくて電話した。とてもいい子だったので、これからも学校生活をがんばってほしいと伝えてほしい」

 大会に先立ち、東京中高では、李節子さんを招いて10月29日に事前講習を行った。

 大会に参加した東京中高の生徒たちは、「参加する前は不安だったが、思ったよりうまくサポートできたし、とても楽しかった。仲良くなれたことで、自信がついた」(康杜赫くん)、「事前講習の時、李節子先生の話を聞いて障がいのある人とうまく接することができるか、ちゃんと手伝えるかと心配や不安が募った。しかし、友達と仲良くなれて楽しく走ることができた。また、他人を助ける気持ちの大切さを学び、障がいがありながらも堂々と楽しく一日を送っていた姿に感動した」(朴聖蘭さん)などと感想を残した。

 東京中高・中級部では毎年、3年生を対象に東京都立王子第2特別支援学校で交流活動を行っている。今年は、東京都立北特別支援学校との交流も行われた。

 今回、大会に参加した東京中高の生徒たちは、来学年度に行われる特別支援学校生徒との交流を前に貴重な経験を積み、東京第3初級の生徒たちも東京中高・中級部でさらに経験を積むことだろう。

 生徒たちは、大会が終わった後も一緒に走った人たちと会いたいと言っており、東京中高・中級部では次回も参加する予定だ。【東京中高】

[朝鮮新報 2008.11.12]