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〈今月の金正日総書記−11〜12月−〉 経済発展のモデル単位を評価

 朝鮮中央通信など国内メディアの伝えた金正日総書記の11、12月の公式活動はそれぞれ11回と12回だった。ここ数カ月は経済や北南関係、対外分野での活動が目立った。8月の咸鏡南・北道の経済単位に対する現地指導や北南首脳対面、ベトナム、中国高官との会見(ともに10月)などだ。一方で11、12月は部隊視察など軍関係の活動が多かった。11月に8回、12月には10回と、それぞれ全体の大半を占めた。回数こそ少なかったが経済や北南関係分野でも重要な意味を持つ活動が報じられた。

綿花、畜産部門を指導

活 動 日 誌

▼朝鮮人民軍部隊視察

11月8日 第479軍部隊管下区分隊※
    9日 第627軍部隊指揮部※
   11日 海軍第291軍部隊管下区分隊※
   21日 第297軍部隊管下中隊※
   22日 空軍第874軍部隊※

12月1日 第1159軍部隊※
    4日 空軍第378軍部隊※
   14日 第255軍部隊指揮部※
   16日 第1971軍部隊指揮部※
   17日 第1925軍部隊管下区分隊※
   18日 第1701軍部隊※
   19日 第776軍部隊直属中隊※
   21日 第1315軍部隊※
   22日 海軍第189軍部隊※

▼その他軍関係

11月5日 朝鮮人民軍第31回軍務者芸術祝典に参加した第775軍部隊管下中隊と第176軍部隊管下中隊の公演を観覧※
    7日 第682軍部隊管下中隊と第3993軍部隊管下中隊の公演を観覧※
   16日 第1912軍部隊管下中隊と第985軍部隊管下中隊の公演を観覧※

12月6日 朝鮮人民軍第1596軍部隊傘下の綿花農場と綿花加工工場、総合建材工場の製品展示場を視察※

▼経済視察

11月18日 元山青年発電所ダム建設場※
12月26日 沙里院養豚場、10月7日養豚場※

▼北南関係

11月2日 現代グループ会長と現代峨山社長一行と会見

▼外交

11月15日 シリア・アラブ共和国のアサド大統領に祝電
12月24日 中国の胡錦涛国家主席の誕生日に際して祝電

※は朝鮮中央通信配信日

 経済部門の活動としては、元山青年発電所のダム建設場、沙里院養豚場と10月7日養豚場に対する現地指導があった。また、軍関係の活動と重なるが、朝鮮人民軍の部隊が運営する綿花農場と綿花加工工場、総合建材工場の製品展示場に対する視察も報じられた。

 2002年10月に着工した元山青年発電所は1号から4号まで4つの発電所で構成される階段式発電所だ。発電能力は約6万キロワット。完成すれば、元山市の電力問題の解決に貢献することが期待されている。

 発電所のダム建設場を視察した総書記は、今回の建設にあたって何件もの新技術と工法を考案、導入するとともに、資材を節約して工事の速度を早めたことを高く評価した。また、「水力発電所を建設することが増え続ける国内の電力需要を円満に解決できる最も早い道だ」と指摘し、「大規模水力発電所とともに中小規模発電所を大々的に建設するという党の政策を今後も徹底的に実行していくべきである」と述べた。

 総書記は今回の視察に先立ち、05年5月にも同発電所の建設を現地で指導している。

 近年、泰川4号青年発電所や三水発電所をはじめ全国で発電所の建設ラッシュが続いている。現在も礼成江発電所や漁郎川発電所などが建設中だ。

 また、軍傘下の綿花部門に対する現地指導(12月6日発朝鮮中央通信)と、畜産部門に対する現地指導(同26日発)も、人民生活の向上に向けた取り組みという面で注目される。

 軍では工場や農場などの生産施設を独自に運営している単位がある。軍が運営する施設で蓄積された経験や新たに考案された技術が民間の経済部門に導入される事例も少なくない。先軍政治において軍は発電所建設や土地整理など、経済分野でも重要な役割を果たすことが求められている。軍で実証された成果やモデルを社会的に広く一般化していくことは、先軍政治の一つの特徴だといえる。

 総書記は人民軍第1596軍部隊傘下の綿花農場を訪れ、同部隊が「近年、生産量を着実に増やし綿花農業を科学化するのに必要な経験を蓄積」したことについて評価した。

 衣食住のうち「衣」の問題に直結する綿花農業部門では現在、国内の実情に合った耕作システムの完成とともに、先進営農方式の導入という課題が提起されている。

 総書記は10月7日養豚場を訪れた際にも、ここ数年の間に建設された鶏工場や豚工場などで飼養管理を科学化した結果、畜産物生産で飛躍的な発展があったと評価した。

現代グループ一行と会見

 北南関係に目を移してみると、総書記は11月2日、現代グループの玄貞恩会長と現代峨山の尹万俊社長ら関係者一行と会見した。

 一行は10月30日から11月3日まで訪北。滞在期間中、北側のアジア太平洋平和委員会(ア太委)と平壌で北南間の観光事業に関する問題を協議し、3日に合意書を発表した。両者は、ア太委が現代グループに白頭山観光事業権と開城地区観光事業権を与えることで合意。白頭山観光を08年5月から開始し、ソウルからの直航便を利用することも決まった。

 白頭山観光は10月の北南首脳対面で発表された10.4宣言における合意事項だ。北南総理会談(11月14〜16日)では、「北と南が白頭山と開城観光事業の円満な推進のために積極的に協力する」(合意書第4条2項)ことを確認した。

 この問題と関連して、北側のチャン・ウヨン名勝地総合開発指導局長は「金正日総書記が、現代グループ先任者の遺志を守り協力事業を受け継いでいる玄貞恩会長と一行と会見し激励したことは、現代グループにとって金剛山観光事業とともに白頭山と開城観光事業の成功を担保する新たな原動力、強力な推進力になる」と述べた(金剛山観光9周年記念式典、11月18日)。総書記の強い意向の下で、北側が北南観光事業の発展に積極的に取り組むことを示唆する発言だといえよう。

 現代側の発表によると、昨年12月5日から始まった開城観光は1月5日の時点でツアー参加者数が延べ9000人を突破するなど、順調に行われている。

 一方、現代峨山側は白頭山観光を平壌観光とセットにして進める計画を構想中だと伝えられている(尹万俊社長、11月18日の記者懇談会)。連合ニュースによると、現代側は今年5月の白頭山観光開始を機に平壌観光問題を北側に提起し、09年には白頭山〜妙香山〜平壌を結ぶ4泊5日のプランを実施する計画を立てているという。(李相英記者)

[朝鮮新報 2008.1.23]