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外部支援労力への依存打破 朝鮮の各地農場で取り組み

「助け借りず独力で営農」

 【平壌発=金志永記者】現在、朝鮮国内の各協同農場では、「農繁期の社会的労働支援」という長く続く慣習の打破に向けた取り組みが行われている。今年の新年3紙共同社説は農業部門の課題として、「自身の力で農業を営むためのたたかい」を繰り広げることを呼びかけた。各地の農場ではそのための研究と対策が進められている。農業部門の自立に向けた動きは、経済諸部門の負担を軽減し、経済の全体的な活性化を促すものとして期待されている。

共同社説の課題

今年の農作業の準備を急ぐ農場員(平安南道龍岡郡玉桃協同農場) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 前述した共同社説の一文の意味は、各協同農場が外部の労働支援なしに農場独自の力で農業を営もうというものだ。農業を「天下之大本」と見なす朝鮮では、農業部門に対する労力支援が国家的な規模で行われている。春季の田植えと秋の刈入れ時期には、国家機関の幹部や労働者、事務員、大学生、家庭主婦に至るまで各階層の人びとが農場に駆けつける。

 農業省農産局責任部員のキム・キョンイルさんは、「わが国は耕地面積が限られているので、最大限の収穫を得るためには生産力を伸ばさなければいけない。労力不足の農場に対しては支援を行うのが当然」と説明する。

 春と秋の「農村動員」は朝鮮の独特な風景だ。人びとも「米を食べる者は誰もが農業を手伝うべきだ」と、労力支援を当然の公民的義務と受け止めている。しかし近頃では、農場員の中でも自分のすべきことは自らの力で解決しようとする声が徐々に大きくなっている、とキムさんは話す。

 「国は農業部門に引き続き力を集中させている。各農場を支援するという政策に変わりはない。しかし農業のあるじが、外部からの支援を当然と思ってはいけない」

科学農業の成果

 実際にここ数年、朝鮮の農業部門では一定の前進と発展があった。実利主義の原則に基づいた農場経営管理の改善、科学的な営農法の研究と生産現場への導入など、農業の発展に不可欠な一連の問題が解決していった。

 キムさんは「科学農業」で収めた成果を、前進の第一の根拠として挙げた。

 「農業省では労力と物資を節約しながら収穫高を上げられる新しい営農法を見出して、それを一般化する作業を一貫して行ってきた。今では農場員が増産のカギは科学技術の導入であるということをはっきりと認識している」

 キムさんによると、「新しい技術が登場すると、積極的に試そうとする熱意が現場にあふれている」という。農場員の中で「科学技術重視」が単純なスローガンで終わらないのは、先進的な営農法の導入が自身の利益と直接結び付くからだ。

 近年、経済管理改善措置の結果、農業部門でも働いた分だけ分配するという社会主義分配原則がより徹底されるようになり、農場員の生産意欲も高まった。

 平安南道江西郡青山里、黄海北道沙里院市嵋谷里など、外部の労力支援を受けずに農業を行っている単位は少なくない。これらの農場は緻密な労力配置や合理的な作業システムなど、外部の支援なしでやっていける条件を整えていくために努力している。農業省ではこれら成功事例を各地の農場へ一般化するための取り組みを続けている。

 もちろん現場の条件はそれぞれ異なるため、外部の支援を受けずに農業を行うという目標を全ての協同農場が短期間でいっせいに実現することはできない。農業省でも「目標は目標として掲げながらも、段階別に推進していく」としている。

集団主義の発現

 外部の支援なしで農場経営を行えれば、農場と農場員の得る利益は大きくても害になることはまったくない。田植えと刈入れのために労力支援を受ければ、それに相応する代価を支出しなければならないが、農場自身の力のみで解決すれば収穫後の分配がその分増える。

 もちろん、これは「個人主義的発想から出たものではない」とキムさんは強調する。

 「われわれは農場のあるじとしての本来の姿を取り戻そう、農業部門で働く人びとが責任を持って農業を営もうと呼びかけている。農場員が自らの仕事に対する主体的な立場を持つことは、むしろ集団主義精神の発現であると受け止めるべきだ」

 農業を「天下之大本」とし、全国民がこれに関心を持つ朝鮮の社会的気風は今後も変わらないだろう。しかし、各協同農場が外部の支援を受けずに独力で農業を営むことで農繁期の労力動員がなくなれば、他の経済諸部門の負担はその分減ることになる。

 「農業部門が自立すれば工業部門はさらに大きく発展する」

 農業省の関係者も、農業部門の自立は「経済強国の建設に向けて必ず経なければいけない過程」だと語った。

[朝鮮新報 2008.3.19]