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朝鮮各地でいっせいに田植え

世界的な食糧危機 「まずは国内増産で対応」

 世界的な穀物価格の高騰により各国で食糧危機への懸念が高まっている。朝鮮各地では、5月に入り、田植えが始まった。国内では国際的な穀物価格の高騰などの影響に対して「穀物増産」で対処することを呼びかけるキャンペーンが展開されている。

国内メディアが強調

10日に田植えを開始した平安南道平原郡の院和協同農場 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 穀物の生産高を伸ばし国の食糧問題を解決することは、朝鮮でも緊要な課題として提起されている。農業省関係者は、「食糧問題は無条件、自分たちの力で解決しなければならない」としながら「国内増産」が当面の課題だと語った。

 労働新聞10日付は社説で、世界的に食糧予備が減少し、食糧価格が急騰して多くの国で食糧危機が強まっている事実に言及し、「現実は、食糧問題を解決する道は自力で農業生産を決定的に増やす道しかない。われわれは現時点で、食糧問題を自身で解決することが朝鮮式社会主義を守り輝かせるための重大な事業だということを深く認識して穀物増産のためのたたかいに奮起しなければならない」と強調した。

 一方で、社説は「朝鮮の農業発展の展望は明るく穀物の生産高を上げる確固たる担保がある」述べた。ジャガイモと豆の栽培がそれだ。とくにジャガイモ農業は金正日総書記の両江道大紅湍郡への現地指導(98年10月1日)を契機に食糧問題解決の一環として大々的に推進されている。今年はその10周年にあたる年だ。

 労働新聞などの国内メディアが紹介している農業対策を整理すると、▼優良な種子を導入しヘクタールあたりの生産量アップ▼適地適作の原則で土地に合う作物の育成▼田畑での二毛作を推進することなどだ。また、大紅湍郡や三池淵郡、白岩郡(以上両江道)などジャガイモを主な作物とする高山地帯で栽培面積を拡張することも強調された。

 作物の増産は国家の計画と指導に基づく「全人民的事業」として展開されている。すべての力を農業に「総動員」「総集中」させ今年の農業生産で「決定的な転換」を果たそうという方針が打ち立てられている。朝鮮では毎年この時期になると、党や政府機関関係者、工場、企業所の労働者、主婦、学生までもが各地に出向き農業支援を行う。

「自分たちの力で解決」

 生産者たちの意欲も高い。

 田植え開始に先立ち全国各地の農場では、今年の収穫目標を達成するための決起集会が相次いで行われた。朝鮮農業勤労者同盟が主催した集会では、作物の生産高を競う「運動」を全国規模で繰り広げることが確認された。

 黄海北道沙里院市の嵋谷協同農場では5日に集会を行った。

 同農場のソン・ユンヒ管理委員長は、「世界的な食糧危機に振り回されないためにも今年の収穫目標を達成しなければならない」と語る。ソンさんによると、農場員らの意気込みはすでに田植え準備の段階から例年以上に高いという。

 昨年8月、朝鮮各地を襲った豪雨により多くの田畑が被害を受けた。国内では昨年の影響を最小限に抑えるため年明けから綿密な対策が錬られてきた。

 平安南道大同郡の中石花協同農場では、年頭から肥料対策にとりかかった。敵対国の圧力と封鎖が依然として続く中、朝鮮の農民たちは外部からの「肥料支援」などを農作業の前提にしない決意に燃えている。同農場のリ・ドンチョル管理委員長(39)は、「自分たちの力で肥料問題を解決するためにがんばっている」と話す。 

 同農場では、国家から供給された化学肥料と家畜の排泄物などを配合して肥料を作っている。年明けに、飼料を送っている養鶏場から249トンの排泄物を運んできた。また、個人が育てている家畜をはじめ郡と里内で収集可能な排泄物を集めた結果、今年の生産計画を達成するのに必要な量の肥料を確保できる展望が開けたという。

 リさんは、「どんなことがあっても穀物増産で9月の建国60周年を輝かせたい。農場員一丸となって今年の生産計画を100%以上達成したい」と決意を述べた。

国際支援の動きも

 国内で穀物増産のための政策が力強く推進される一方、朝鮮を取り巻く情勢の変化に伴う国際的な支援の動きもある。

 米国食糧協議代表団が5日から8日まで朝鮮を訪問し朝鮮側と人道的な食糧提供問題に関する協議を行った。朝鮮側の発表によると、協議は「真しに、りっぱに行われた」(8日発朝鮮中央通信)。米国メディアなどは、米政府と非政府機構(NGO)で構成された代表団が今月末訪朝し朝鮮側との食糧支援に向けた実務協議を行う予定だと伝えている。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2008.5.16]