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被害者が求める根本的解決 「過去清算と直結する問題」

 朝鮮国内ではこれまでの調査を通じて1911人の被爆者を確認。その多くが、被爆による各種の病気と高齢化などによって死亡し、現在生存しているのは382人だ。

 実際にはこれより多い被爆者の存在が推定されている。朝鮮被爆者協会は、本人が知らずに被爆後遺症で苦しんでいる人びとの健康状態を確認し登録する調査作業を優先的な課題として定めているが、該当資料や文書がないため、作業を行えない状況だという。

 協会では、日本側が1945年当時の広島と長崎の戸籍名簿や、機関、企業所、軍需関連部門に携っていた朝鮮人の名簿を全面公開することを要求している。

 在朝被爆者問題は、日本の過去清算の主要なイシューである朝鮮人強制連行問題とその根源を同じくしている。ところが日本は資料と文書の公開を拒絶し続けてきた。

 これは、日本自らが過去清算をしないかぎり、戦後60年余りが過ぎても放置されている在朝被爆者問題の根本的な解決はありえないことを示している。

 現在被害者と協会関係者は当面の措置として、高齢となった被爆者に対する医療支援を至急行うことを日本側に求めている。国交正常化前でも、日本政府は人道レベルでいくらでも方法を探ることができると朝鮮側は主張する。

 今年6月、朝・日政府間実務会談が開かれた。今も日本国内では拉致問題に縛られた世論が幅をきかせている。しかし、日本の罪深い過去を記憶する在朝被爆者は、朝・日関係改善における本質的な問題が何なのかをはっきりと認識している。

 日本政府は、「拉致再調査」と「制裁解除」を取り引きすることが、あたかも朝・日関係の焦点であるかのように世論をミスリードしているが、歴史を体験した人びとには、過去清算という日本の責務をうやむやにしようとするいかなる策略も通じないだろう。

[朝鮮新報 2008.8.8]