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「ともだち展」が平壌を訪問 再会に抱き合う

朝鮮学校生徒だからできること

 【平壌発=文・鄭茂憲、写真・文光善記者】「2008・北南コリアと日本のともだち展(ともだち展)」の平壌訪問が8月20〜27日に行われた。東京都内の朝鮮学校初・中級部の児童・生徒5人と、「ともだち展」の実行委員などで構成された一行は、平壌市内の綾羅小学校と長慶小学校を訪れ、日本で行われた「ともだち展」の様子を朝鮮の子どもたちに紹介し、交流を深めた。「ともだち展」は、子どもたちの絵を通して交流することで、北南朝鮮、日本をはじめ東北アジアの平和を成し遂げようという思いが込められた絵画展だ。

「一方通行」の橋渡し

わきあいあいとした雰囲気のなかで行われた「ともだち展」

 北南関係、朝・日関係がぎくしゃくする中、朝鮮学校で学ぶ子どもたちが交流の架け橋になる−2003年から続けられてきた「ともだち展」だが今年の平壌訪問は、とくにそんな役割を担っている。

 今年の「ともだち展」の朝鮮訪問では、これまでに日本各地で行われてきた「絵画展」の様子を知らせることが大きな目的となった。2001年に東京で始まった「ともだち展」では、これまでにも朝鮮の子どもたちが描いた絵が多数展示されてきた。今年6月に東京で行われた「ともだち展」でも、綾羅小学校と長慶小学校の児童たちの作品25点が展示された。

 2005年には、平壌を訪れた朝鮮学校の児童と綾羅小学校の児童が共同で、等身大の自画像を作成。そのとき描かれた絵は、その後3年の間に渡って、日本各地で展示され、多くの日本人の目に留まった。

お菓子を囲んで交流を深めた

 昨今の朝・日関係の状況下では、朝・日の子どもたちが互いの国を訪れ交流することが難しく、絵画だけが行き来する「一方通行」の形を取らざるを得ない。しかし、朝鮮学校の生徒たちが平壌を訪れることで、自分たちが描いたものがどのように展示されているのかを知らせる、橋渡しになっている。

 子どもたちの絵画展という形で行われ、政治問題とは一線を画しているが、朝・日間の情勢に左右されるのが現実だ。

 日本でマスコミによる「拉致」関連報道が続き、また一昨年からは「対朝鮮経済制裁」がさらに加わり、日本での開催も難しい現状にあるという。

 それでも続けてきた理由は、朝・日間の距離を少しでも近づけたいという気持ちからだ。「朝鮮学校の児童たちと協力して日朝関係を改善するための取り組みでもある」と、KOREAこどもキャンペーン事務局長の筒井由紀子さんは指摘する。

綾羅小学校での再会

協力しあって一つの作品を作っていく生徒ら

 8月25日、一行は綾羅小学校を訪れた。「ともだち展」の訪朝時に必ず訪れる学校でもある。

 李那優さん(東京第5初中、中2)にとっても、同校は2005年に訪れた場所だ。当時初級部4年だった李さんは同校の女子児童たちと一緒に、等身大の自画像を描いた思い出が今も忘れられず、彼女との再会を心待ちにしていた。「ともだち展」の平壌訪問は今回で6度目だが、子どもたちの中で再訪門を果たしたのは李さんが初めてだ。「私たちを歓迎してくれた輪の中に彼女を見つけたとき、あまりにうれしくて二人で抱き合った」。李さんにとって、彼女は忘れることのできない存在だという。

 「再会」は「ともだち展」がこれまで積み上げてきた成果だと話すのは、同訪問団の団長を務めた清水俊弘・日本国際ボランティアセンター(JVC)事務局長だ。「綾羅小学校を訪れたときに、費してきた年月の厚みを感じた。綾羅小学校、長慶小学校での経験をこれからどれだけ多くの人たちに伝えられるか。それが重要だと思う」。

 日本国際ボランティアセンターの寺西澄子さんは、「平壌の学校の先生や児童たちが、『ともだち展』を自分たちの行事だと感じてくれていることがうれしい」と話した。

[朝鮮新報 2008.9.1]