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平壌外国語学院 中国語、ロシア語 世界コンクールで最優秀、1等獲得

有能なバイリンガルが育つ

 【平壌発=鄭茂憲記者】平壌外国語大学の附属中学校、平壌外国語学院で有能なバイリンガルが育っている。とくに中国語、ロシア語教育で成果を収めている。第12回国際学生ロシア語オリンピック(6月24〜28日、ロシア・モスクワ、306人参加)と第1回世界学生中国語コンクール(7月15〜30日、中国・重慶市、87人参加)で同学院学生は最優秀賞(ロシア語)と1位(中国語)をはじめ多数の賞を獲得した。

日常から環境作り

中国語コンクールで優秀な成績を収めた3人(左からチェ・ジヘ、ソ・ユンミ、チェ・ヘヨンさん)

 平壌外国語学院では、英語、中国語、ロシア語など8つの外国語を教えている。言語ごとに講座があり、生徒たちは一般教科と共に選択した外国語教育を受ける。

 朝鮮の義務教育体系は、幼稚園(1年)と小学校(4年)、そして中学校(6年)だ。特別教育が実施される平壌外国語学院の対象は、中学4年から6年生まで。同学院に入学するには、一般の6年制外国語学院に通いながら試験を受け合格しなければならない。

 中国語、ロシア語講座では入学年に当たる4年生を基礎段階に設定している。細分化された専門的な言語学習は5年生から開始する。授業の柱は講読とリスニングだ。

 しかし、このような授業だけでは有能なバイリンガルは育たない。

 中国語、ロシア語教育の講義では朝鮮語はいっさい使われない。

 中国語講座のキム・ヒョンヒ教員(31)は、「講義はすべて中国語で行われる。基礎の4年生初期段階では難しいが、少しずつ中国語の比率を上げていく」と話す。3カ月が過ぎたころには、中国語で簡単な会話をすることができるようになるという。

 また講座では、中国語で日記を書くことが課題になっている。今回の世界コンクールで3位になったソ・ユンミさん(16)は、「最初の頃は日記を書くことがいちばん大変だった。しかし日を重ねるごとに語彙数が増えた」。

 日常生活においても、専門言語を使う環境づくりに関心が向けられている。

 ロシア語のキム・チュヨン講座長(48)は、「5年生から、すべての日常会話をロシア語で行うようにしている」と話す。こうした過程を通じて、母国語を外国語に訳すのではなく、最初から外国語で考えて話す思考回路を身につけることができるとキム講座長は指摘する。

隣国に対する関心

 外国語学院でもっとも人気の高い言語は英語で、次に中国語、ロシア語だ。世界共通語の英語はどの国でも重視されるが、朝鮮の生徒の間で中国語、ロシア語の関心が高いのはそれぞれ隣国で使われている言語だという事情が大きく作用している。

 「金正日総書記はロシアと中国に対し精力的な対外活動を行っている。ロシア、中国の首脳も朝鮮を訪問した。生徒たちはこうしたニュースに接し、自然と親近感を感じているようだ」(キム・チュヨン講座長)

 ロシア語オリンピックで児童部門最優秀賞を授与されたリ・ウナさん(13)は、2000年に見た記録映画がロシア語学習の重要なきっかけになったという。

 「プーチン大統領が朝鮮を訪問したとき、歓迎の沿道で少年団員が大統領にあいさつをした。そのとき、自分と同じ年ごろの少年団員が通訳をする姿を見てうらやましかった」

 中国語コンクールで個人総合1位(全3人)と最優秀弁論賞を受賞したチェ・ヘヨンさん(16)は、中国出張の多い父親の影響を受けて興味を持つようになった。

 「中国語の勉強で大変なのは慣用句を暗記すること。でもそれがおもしろい。慣用句に込められた意味を通じて中国の歴史や文化を知ることができる」

 チェさんの将来の夢は、外交官か通訳になることだという。

[朝鮮新報 2008.9.5]