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朝ロ協力事業 鉄道・港の現代化で羅先はこう変わる

輸送網整備、開発の呼び水に

 【平壌発=李相英記者】4日に着工した羅津−ハッサン鉄道および羅津港現代化事業は、羅先経済貿易地帯の活性化にも好影響を及ぼすことが期待されている。ロシアとの共同プロジェクトを機に羅先はどう変わるのか。現地での取材を基に、プロジェクトの概要と羅先地区の開発の展望について見た。

貨物中継の機能を強化

ロシアとの協力を通じて改修する羅津港第3埠頭の一部

 関係者によると、同プロジェクトに対する投資総額は1億4000万ユーロ。事業の推進は、朝鮮側とロシア鉄道側合営の羅先国際貨物輸送合営会社が受け持つ。

 鉄道現代化プロジェクトを見ると、羅津−ハッサン間の工事の対象区間は54キロで、新しいレールの敷設、区間内にある各駅の整備、改修などが主な事業内容だ。また、シベリア鉄道は線路幅が1520ミリの「ロシア広軌」で、朝鮮の鉄道は1435ミリ国際標準軌であるため、これまでは、国境での台車交換が必要だったが、複合レールの敷設によりロシア側車両の通過がスムーズになる。

 ロシア鉄道側によると、数年後には工事を完了させ、2011年に年間貨物輸送量をコンテナベースで3万5千、12年には7万、13年からは10万トンにまでアップさせる計画だという。

 一方、羅津港現代化事業の核心は、同港にコンテナ貨物専用の埠頭を建設するというもの。

 羅津港の総敷地面積は37万5000uで、そのうち、ロシアとの共同開発区域は20万1000u。同港には埠頭が3つあるが、開発の対象となるのは第3埠頭だ。老朽化した設備を撤去しコンテナクレーンをはじめとする設備を一新、発電所や浄水場などの施設も建設する。また、埠頭をセメントやアスファルトで舗装、港内に鉄道を新たに敷設し、埠頭の規模も内陸部に向かって段階的に拡張する計画だという。

 羅津港は不凍港で、港の東側に伸びた羅津半島と沖合いの大小2つの島が自然の防波堤の役割を果たしている。また、干満差も20センチほどと小さく、「天然の良港」と評価が高い。

 現代化事業は3段階に分けて行われる。当面の第1段階は2010年10月末までの完了を目標にしている。羅津港の年間貨物取扱量は現在300万トンだが、新たに建設される貨物埠頭は、第1段階工事終了時にはその能力が数倍に拡大する。一個数トン規模のコンテナが20万、第2段階終了時には40万の取扱能力を備えることが期待されている。

ヨーロッパにつながる基点

 今回着工した朝ロ共同プロジェクトは、将来的にはアジアとヨーロッパを結ぶ国際輸送路の創設につなげる構想がある。朝ロ2国間協力事業の枠組みを超えた国際的な関心を呼び起こしている。同プロジェクトのスタートをきっかけに、羅先経済貿易地帯が再び脚光を浴びることは間違いないだろう。

 1990年代初頭に朝鮮東北部、咸鏡北道の羅津−先峰地域(2000年9月に行政区域名を羅先市に改称)が自由経済貿易地帯に指定され内外の注目を集めたのは、同地域が東北アジア地域内の陸・海連絡輸送の要衝地として、開発に有利な地理的条件を備えていたからだ。

 朝鮮側は同地域を貨物輸送と中継貿易、加工工業の拠点として築く構想を提示したが、現在まで思うような成果は上がっていない。今回の着工式に参加した関係者らも、開発の現状について「当初の期待にはるかに及ばない水準」だと率直に認めている。これにはさまざまな要因が指摘されているが、インフラ整備が満足に進まなかったことも、その一つに挙げられている。

 今回の事業を通じて、鉄道と港湾施設という中心的なインフラが整備され、物流が活発になり、羅先が国際輸送の中継地としての地位を確立すれば、それによって得られる直接的な利益のみならず、経済貿易地帯への海外企業の大規模進出にもつながるいうのが関係者らの見方だ。

 同プロジェクトに寄せる羅先市の期待は大きい。羅先市人民委員会のキム・スヨル委員長も、経済貿易地帯活性化への呼び水になるとの見解を示している。

 キム委員長は「現在、200ほどの会社が羅先に進出しているが、大規模な事業は少ない」と現状を説明する一方、「今回のプロジェクトが推進され、羅先が持つ経済発展の可能性に対する認知度が高まれば、開発に再び拍車がかかり、われわれが望むハイテクや加工業の進出の展望も開けてくる」と述べた。また、「羅先市としても、朝ロの共同事業推進を積極的に後押ししていきたい」と語った。

[朝鮮新報 2008.10.14]