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現実味を帯びてきた日本「排除」論

6者会談の妨害者に各国が警戒

 「われわれは、日本が参加する6者会談が必要かどうかについて思案中だ」(労働新聞22日付)。朝鮮の各メディアが日本の6者会談参加資格について問題視している。非核化プロセスに障害をもたらしている「孤独な不満者」(23日発朝鮮中央通信)を非難するその論調は、外交当局の意向を反映したものと思われる。

参加各国も非難

 「日本排除」論は朝鮮の主観的な要求ではなく、国際社会の現実を反映している。

 朝鮮半島非核化の第2段階で履行すべき義務を放棄したのは日本だけ。日本は「拉致問題」を口実にしているが、「行動対行動」の原則に沿って各国の義務履行が完結されてこそ次の段階へ移ることができるというのが6者の合意事項である。

 米国は重油100万トン分の経済・エネルギー支援問題で、日本の負担分を6者以外の国が「代納」する方式を模索していると報道されているが、そのような方法で支援が完了されたとしても朝鮮側が日本の公約違反を黙認するかどうかはわからない。

 核問題解決のために集まった各国の立場からすると、「拉致問題」で進展がないかぎり6者が何を合意したとしても履行はできないと主張すること自体、荒唐無稽な詭弁だ。しかし日本の身勝手な言動を予想できなかったわけではない。

 日本は6者会談に議題とはまったく関係のない「拉致問題」を持ち出した。非核化問題でも自分の主張を述べるだけで行動したことはない。「日本は6者会談の場にいるよりもいっそのこといないほうがましだという不便でやっかいな存在となっている」との指摘は、労働新聞に掲載されたものだが、各国の本音もある程度代弁している。

 実際、過去には「日本をはずした核会談」が関係国の中で取りざたされたことがあるという。

 北京の外交筋によると、2006年10月の朝鮮の地下核実験以後、6者会談再開問題が朝、米、中の間で論議された際に日本の参加が憂慮されたという。日本は核実験を口実に朝鮮に対する「単独制裁」を強行。対話による問題解決を模索する国際社会の動きに逆行する「外交的無知と能力の欠如」を露呈した。それでも、その時「日本をかばう国」があったため、会談は6者という構図をなんとか維持したまま再開された。

「戦略不在の国」

 日本は、「テロ支援国」リストからの削除の前に朝米間で交わされた核検証合意に不満を示し、「徹底的な核検証」を主張している。そして非核化第2段階での義務を履行していないのにもかかわらず、次の段階での「核廃棄」プロセスに技術や資金を支援できると言っている。非核化プロセスに対するこのような恣意的な解釈は、他の参加国に原則を無視した的外れな発言としか受け止められないだろう。

 北京で核問題が討議されるたびに、他の参加国からは「戦略のない国」に対する嘲笑と批判が起こった。日本がなぜ6者会談に参加しているのかという疑問が常に生じた。

 米国の「テロ支援国」リスト削除に対して日本は「背信行為」だと不満をもらしたが、それは2.13合意に明記されている項目だ。

 日本が6者会談を尊重するなら、最初から米国の「テロ支援国」リスト削除を「既成事実」と受け止め、朝鮮との関係改善へ向かうべきであった。

 もちろん、この間に動きがまったくなかったわけではない。6者合意に沿って朝・日作業部会が開催され、6月と8月には朝・日政府間実務会談が行われた。

 ところが、日本は非核化第2段階が最終局面を迎える時点で、6者会談の進展と朝・日関係改善を同時進行させる路線を捨て、再び会談に障害をもたらそうとしている。

 国内の政争に追われ、朝・日間の懸案問題に取り組む準備が整っていない麻生政権が、「徹底的な核検証」論を掲げながら朝米合意を非難し、非核化プロセスを妨害しようとしている。これは、6者会談参加各国の警戒心を呼び起こしている。

「同盟国」の反発

 朝鮮メディアの論調を見ると、今後開催される6者会談で、朝鮮は日本の参加問題を提起するかもしれない。他の参加国は、排除の論理を公言しないかもしれないが、日本の孤立はよりはっきりするだろう。米国に対する日本の「期待」も、「テロ支援国」リスト削除が示したように、もはや自国の目的達成に有利な作用をするとは考えられない。

 10.3合意履行が完結した後の非核化の「次の段階」は、従来よりもさらに複雑な様相を帯びることが予想される。朝米が互いに銃口を突きつけている朝鮮半島で、全ての核の脅威を除去するプロセスには、さまざまな問題が存在する。双方は、それに対する理解に基づき、核検証の合意をした。しかし核問題の直接的な当事者でない日本はこれに反対している。

 今後も「徹底的な核検証」論に引き続き固執する場合、日本は米国にとっても目障りな存在になるだろう。非核化の論議に、「妨害者」を必ずしも参加させなければならないということはない。そうした動きが米国側から顕在化するかもしれない。(金志永記者)

[朝鮮新報 2008.10.29]