中央動物園 全面改築で新たにオープン |
工夫凝らした作りで人気 【平壌発=李相英記者】平壌市大城区域にある中央動物園が2年にわたる改築工事を終えて、装いも新たに生まれ変わった。来年、開園50周年を迎える中央動物園は市民の憩いの場として、さらなる人気を集めている。 自然環境を再現
2006年9月に始まった改築工事は今年9月に終了した。今月初め金正日総書記が同園を現地指導。設計も施工も最高レベルの現代的な動物園だと高い評価したことが伝えられている。 100ヘクタールの広大な敷地内には66棟の動物舎を含め、レストランや売店などのサービス施設、病院、防疫施設など136棟の建物がある。 現在、同園には600余種、6000頭余りの動物がいる。キツネ、タヌキ、ヤマネコなどの小動物、ウマやキリン、ゾウなどの草食動物、ライオンやトラなどの猛獣にいたるまで数多くの動物が訪れた人びとの目を楽しませている。 中央動物園のチョン・ウン副園長によると、大規模な国家投資を受けた今回の改築工事にあたって、希少動物も含めて世界各地に生息するさまざまな動物を自然環境の中で観覧できるような動物園づくりを心がけたという。職員を海外に派遣、中国の北京動物園やロシアのモスクワ動物園など各国の動物園を視察させ、世界の動向を積極的に取り入れた。 新しく生まれ変わった動物園の特徴として、金網や鉄柵を可能なかぎりはずして、ガラス張りにしたことが挙げられる。また、それぞれの動物に合った環境を屋外に再現し、自然の中で暮らす動物の姿を間近で楽しむことができるようになった。囲いを低くする一方で、人間と動物との間に壕を掘って動物が外に出るのを防ぐ措置をとった。
今回の改築における目玉の一つが猛獣舎だ。周囲を壁でかこった敷地内にライオンやトラを放し飼いにした。さらに壁の上に空中回廊を設置、猛獣の生態をさまざまな角度から直接観察できるようにした。猛獣舎全体の広さも従来の2倍に拡張した。 動物舎の配置にも工夫を凝らした。「動物進化の歴史をたどる」というテーマのもと、全長5キロにわたる専用ルートに沿って、水族館の魚類から始まって爬虫類、鳥類、哺乳類にいたるまで順を追って観覧できるように配置された。 寄贈動物も多数
同園には各国から贈られてきた動物も多い。 04年7月に南朝鮮のソウル大公園が寄贈した朝鮮トラや同年6月、中国・黒龍江省民族経済開発総公社の総社長が寄贈したホワイトタイガーは来園客の人気がとくに高い。繁殖が難しいとされるホワイトタイガーだが、現在まで10数頭の繁殖に成功している。 2000年6月、北南首脳対面に際して南朝鮮の金大中大統領(当時)夫妻が贈った2匹の珍島犬、「ピョンファ!」(平和)と「トンイル!」(統一)も動物園の人気者だ。 取材に訪れた日には、来園客が檻にむかって「ピョンファ」「トンイル」と呼びかける姿が多く見受けられた。おとなしく従順なメスの「ピョンファ」に比べてオスの「トンイル」は少々気性が荒いと飼育員は話していた。繁殖状況も良好で00年以来毎年多くの子犬を産んでいる。 また、85年にスウェーデンのヨナス・スカンセン動物館館長が金正日総書記に寄贈した動物館では、世界各地の希少動物80種余りを見ることができる。同館も動物園の全面改築を機に外装を一新。現在は内装工事の真っ最中だ。
中央動物園は59年の開園以来、豊かな市民生活を提供する文化施設、動物資源の保護・増殖および動物学の知識普及の拠点として発展してきた。市内の人気スポットの一つで、週末や休日ともなれば団体客やカップル、家族連れで終日にぎわいをみせる。学生らも課外授業の一環としてたびたび訪れる。改築後は客足がさらに伸びているという。 チョン副園長は「中央動物園が果たすべき役割は今後も変わらない」と強調する。動物園側は今回の改築を機に動物の種類、頭数ともに大幅に増やす計画を立てている。 チョン副園長は「目標は1000種まで増やすこと。今後も施設の充実に力を入れて、世界に誇れる動物園にしていきたい」と抱負を語った。 [朝鮮新報 2008.12.10] |