〈6者会談団長会談〉 朝鮮、「行動対行動」を貫く |
第2段階の核検証は合意違反 【北京発=金志永記者】6者会談団長会談が8〜11日、北京で行われ最終日に中国が議長声明(要旨別項)を発表し閉幕した。朝鮮は、日本や南朝鮮が突如、持ち出してきた核計画の検証問題について、「行動対行動」の原則に基づく立場を堅持して、一切許容しない立場を貫いた。 再び「武装解除」迫る
今会談で朝鮮は、10月に平壌で米国側と交わした合意にない要求を拒否した。「試料採取」を盛り込んだ検証文書の採択だ。 非核化の第2段階、すなわち米国が朝鮮を「テロ支援国家」から解除して政策転換の第一歩を踏み出したに過ぎない現時点で、第3段階で論議すべき朝鮮の核計画の全体像を把握することにつながる「試料採取」は、とうてい受け入れられないということだ。同時行動という原則に照らしてみても、朝鮮の対応は至極妥当なものだ。「国際的な基準」を口実に、朝鮮側に突きつけた「試料採取」は原則違反なのである。 にもかかわらず日本、南朝鮮などは、5者が10.3合意の履行を完了する前に、まず朝鮮が検証問題でさらにもう一歩踏み込まなければならないという主張を展開した。 朝鮮に対する米国の核脅威が依然として残っているにもかかわらず、朝鮮の核抑止力はすべて公開すべきだという「一方的な核武装解除」論を再び持ち出してきたのである。 今会談での焦点は、原則の貫徹、再確認だった。 つまり、「試料採取」の文言を合意文書に挿入することや他の表現に置き換えるといったことは本質的な問題ではなく、各側の同時行動、非核化プロセスの性格に合わせた検証の手順と方法を正しく規定する問題がより重要だったのだ。 会談の結果、「同時行動」原則に反する「試料採取」などの一方的な検証要求は排除され、10.3合意の履行完結を強調する議長声明が発表された。 第3段階の目標へ
朝鮮の核実験(06年10月)後、再開された6者会談は、「行動対行動」を原則にした共同計画の作成とその履行のプロセスだった。 今年6月、「テロ支援国家」指定解除プロセスへの着手を発表したブッシュ大統領も「Action For Action(行動対行動)」という言葉を使った。 同時行動原則というのは、朝米の敵対関係から起きた朝鮮半島の核問題を解決するには、一方が変化するだけでは不可能であり、相互の信頼を醸成し関係を改善していくしか道はないという現実を直視したものである。 朝鮮にとって「行動対行動」という原則は、何らかの代価を求めた取引のためのものではない。非核化を先行させ実践することによって、相手国に変化を促す外交的攻勢の意味合いを持つものだといえる。 こうした過程で、朝鮮を「悪の枢軸」と呼んだブッシュ政権は最終的には「テロ支援国家」指定を解除して、対朝鮮敵視政策を転換する第1歩を踏み出さざるをえなかった。 来年1月、米国ではオバマ政権が発足する。9.19共同声明履行の第2段階が完了すれば、朝鮮は第3段階の目標達成へ新たな外交攻勢を準備するだろう。 議長声明 6者が合意した議題は、@第2段階措置の完全な履行A朝鮮半島の非核化の検証B北東アジアの平和および安全に関する指針であった。 6者は、これらについて、真しかつ率直で、突っ込んだ、建設的な議論を行った。 6者は、9.19共同声明第2段階の行動措置を履行するうえで肯定的な進展を遂げたことを認めた。 6者は、10.3合意に示されているように、寧辺核施設の無力化と並行して100万トンの重油に相当する経済およびエネルギー補償を完結することで合意した。6者は朝鮮に対する経済補償提供に国際社会が参加することを歓迎する。 南朝鮮は、朝鮮への経済補償問題を論議するため、議長として、経済・エネルギー協力作業部会を適切な時期に開催する。 6者は、朝鮮半島の検証可能な非核化という9.19共同声明の目標を再確認した。 6者は、検証のあり方についての合意に向けて得られた進展を評価した。 6者は、検証の過程での国際原子力機関(IAEA)による支援および助言を歓迎する。 ロシアは、北東アジアの平和・安全に関する指針の改訂された草案を配布した。同草案は6者によって議論され、全般的に肯定的な反応を得た。 6者は、同草案のさらなる検討のため、ロシアが議長を務める北東アジアの平和・安全のメカニズム作業部会を2009年2月にモスクワで開催することで一致した。 6者は、6者会談のプロセスを進展させ、北東アジアと世界の平和および安定に貢献することで一致した。 6者は、次回の6者会談を早期に開催することで一致した。 [朝鮮新報 2008.12.17] |