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朝鮮の論調 08年 1月

 2008年が明けた。振り返れば、昨年下半期、6者会談のプロセスは朝米を軸に急展開した。しかし、10.3合意、ヒル次官補再訪朝、ブッシュ大統領の親書伝達、そしていよいよか…という段になって、小休止。現在も動きが報じられていない。そんな中、朝鮮は新年3紙共同社説で、金日成主席生誕100周年を迎える2012年までのロードマップを提示した。

−対米 「するべきことはした」

 昨年10月以降、米国に対する論調は穏やかになった。6者プロセスの進展ぶりが窺えた。しかし今年に入ってからは一転、手厳しい語調が続いている。

 4日、外務省スポークスマンは談話を発表した。「10.3合意の期限である12月31日が過ぎた」と前置きし、「遺憾にも、朝鮮側の核施設無力化を除いた残りの合意事項の履行は未達である」と指摘。「無力化は、昨年11月初に始まり、合意にそって12月31日までに『技術的に可能な範囲』の作業が完了した」ことについて確認した。

 そして、一部で誤って報道されている核申告問題に関しても、「事実上、すべきことは全てやった」と強調。「申告書はすでに米国側に通達済みであり、必要な協議もすべて終えた」と一連の事実を公表した。

 また、「9.19共同声明をはじめとする6者会談でなされたすべての合意には、『行動対行動』の原則が貫かれている」とし、「6者会談の全ての参加国が同時行動の原則のもとに努力するならば、10.3合意が円満に履行されるであろうという期待を、依然として持っている」と結んだ。

 16日に配信されたボルトン前国連大使を非難する労働新聞の記事の中では、「朝鮮半島非核化は、どちらか一方だけが誠実に行動したからといって進む性格のものではなく、同時行動原則にそって共に信義をもって努力せねばならない」とし、ここでも「行動対行動」の原則を強調した。

 そして、「朝鮮半島の非核化は、米国が自らがすべきことをするかどうかにかかっている」と断じ、「対朝鮮圧力政策を引き続き追求するなら、われわれはより強力に対応するほかはない」とした。

 最後の下りが何を指すかは論を待たない。

 一方、最近の論調の特徴としては、非難の矛先が「米政府」よりも「米保守強硬派」に向けられていることが挙げられる。

−対日 不純な「三角圧力」策動

 昨年の福田政権発足当初は、論調も静観状態が続いていたが、今年に入ってから政権を批判する記事の配信が目につき始めた。

 発端は、南朝鮮大統領選挙の結果を受けたのちの日本政府の反応だ。

 福田首相をはじめとする閣僚らは、あいついで「南朝鮮との関係強化」「東北アジアでの影響力行使」を唱えた。

 論調は、これらを実現するための「米韓日三角圧力共助体制」を追求する意図は、「朝鮮再侵野望の発露」であり、ひいては「6者プロセスそのものを破たんさせるためのものにほかならない」と看破している。

 そして、政権交代後も「拉致問題」を執拗に騒ぎ立て、引き続き対朝鮮敵視政策を行っている日本は、6者プロセスの進展を阻む最大の勢力にほかならない、とあらためて強調した。

−対南 「わが民族同士」を強調

 現時点では、李明博陣営を名指しする論調などは配信されていない。しかし、新年の3紙共同社説では10.4宣言をたびたび強調していた。南当局へのメッセージとも受け取れる。

 その後も、「民族同士」を強調する論調が続いた。配信された内容のほとんどは統一問題に関する労働新聞の記事だった。その中で民族の「自主」「共助」「団結」についても集中的に言及されていた。

 間接的なメッセージ配信であろう。

 電撃的な朝米ベルリン会談から1年が経った。この間、情勢は劇的に変化した。朝鮮による現存核施設の無力化、そして、米国による「テロ支援国リスト」からの朝鮮の削除および「適性国通商法」による制裁の全面解除にまで合意が進んだ。

 核施設の無力化は「技術的に可能な範囲」の作業が終了した。しかし、「テロ支援国リスト」削除および「適性国通商法」解除は、約束の期限内に履行されなかった。

 日本のマスコミはこぞって「原因は北朝鮮の核申告不備」と騒ぎ立て、問題解決のボールがあたかも朝鮮側にあるかのような報道を垂れ流した。

 朝鮮は、外務省スポークスマン談話で明らかにしたとおり、自分たちが遂行すべき役割をすでに終えている。あとは、他の6者会談参加国の合意履行を待っている状態にある。

 2006年12月の6者会談再開以降の経緯が示しているように、朝鮮側は常に自分たちに与えられた義務を誠実に、期限内に、履行してきた。

 6者プロセスが一時的に停滞した理由は、米国側の煮え切らない優柔不断な対応にあったのであって、朝鮮側に責任はない。

 今回のケースも同様である。朝鮮は自らの義務をすでに果たし終えている。あとは米国次第だ。

 昨年、BDA問題の解決が遅れた結果、6者プロセスは停滞した。要は、米国がそこから何を学んだのかであろう。「レフコウィッツ発言」を即座に否定したライス長官の姿勢をみるかぎりは、相応の教訓を得ているようにも見受けられるのだが。

 さて。

 新年といえば、3紙共同社説である。今年は、2012年までのロードマップを提示したという点において画期的な内容であった。

 卓上で議論をたたかわせる時宜はとうに過ぎた。歴史的な6.15宣言発表以来、今日の今日まで飛び交った幾多の熱論も、実際に体を成さなければ、何ら意味を持たない。

 行動が求められている。(韓昌健記者)

[朝鮮新報 2008.1.30]