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朝鮮の論調 08年 2月

 旧正月(7日)、金正日総書記生誕節(16日)と祝賀行事が続いた2月。6者関連では、金桂官次官とヒル国務次官補による朝米団長接触が北京で行われ(19日)、その後、対朝鮮経済、エネルギー支援方案を協議する北南朝鮮、中国による3者実務会合(21〜22日、北京=連合ニュース)も開かれた。また、25日には南で李明博政権が正式に発足し、翌26日には平壌の東平壌大劇場で米国の名門交響楽団ニューヨーク・フィルハーモニックの初公演が行われた。

−対米 強硬一辺倒は百害無益

 2日、ソン・キム部長を団長とする米国務省代表団の訪朝(1月31日〜2月2日)が伝えられた。

 滞在期間中、10.3合意履行における関心事を議論したとし、「真摯かつ実務的な雰囲気の中で行われた」と報じた。

 その後は先月と同様に米軍の動向を批判する厳しい論調が続いた。

 6日には祖平統が米軍部の「南朝鮮永久駐屯」発言を糾弾する談話を発表し、7日には平和擁護民族委が戦争演習を糾弾する声明を発表した。

 8日には「強硬一辺倒は百害無益」と題する労働新聞の記事を配信した。その中で、「対話に反対し、強硬一辺倒政策を行うなら、これまで対話を通じて成し遂げた全てが瞬時に泡と消える恐れがある。これが何を意味するかは、あえて論じるまでもない」とし、「対話を通じて問題を解決しようとするのがわれわれの一貫した立場である」と表明した。

 その後も「北侵戦争演習は緊張激化と戦争の根源」(19日、労働新聞)、「宇宙軍備競争を防がねばならない」(25日、労働新聞)、「米国は朝鮮半島核問題を発生させた張本人」(28日)などが配信された。

 米軍の動向を非難するとき、昨年までは単に「米帝」と抽象的な表現を用いていたが、最近は「米保守強硬派」「米好戦勢力」と表記している。ブッシュ政権を直接名指しての批判にはなっていない。

−対日 6者の場を自ら退くべき

 2日に京都商工会への強制捜索を非難した労働新聞の記事を配信し、「今回の強制捜索はファッショ狂乱的な弾圧騒動であり朝鮮と総連に対する政治的挑発、奸悪な敵対行為である」と指摘。その政治的動機は、内外に反朝鮮感情と敵視雰囲気を作るところにあると強調した。

 19日には、日本は6者会談の場を自ら退くべきとする民主朝鮮の記事を配信。「6者会談は名実ともに朝鮮半島核問題を平和的に解決するための多国間対話の場である」としたうえで、「しかし、日本は対話の場を対決の場にしようと企んでいる」と非難した。10.3合意履行においても、唯一日本だけが動いていないと強調。「日本は、朝鮮半島核問題のような鋭敏で重要な問題を扱う政治的能力が自分たちにないことを自認し、追い出されるという恥をかくまえに6者会談の場からすすんで退く方が身のためだ」と勧告した。

 その他には、労働新聞に掲載された▼米軍駐屯「有益説」を唱えた外相を批判する記事、▼石原都知事の「日本が第二次世界大戦を戦ったおかげで植民地国家が解放された」との発言を批判する記事、▼独島強奪策動を非難する記事などが配信された。

−対南 「わが民族同士」を強調

 李新政権が発足した25日に、「『わが民族同士』は自主統一の旗印」と題する労働新聞の記事が配信された。約700字の長くない文の中で「わが民族同士」という表現が4回登場した。その後も「民族の団結は自主統一の推進力」(27日、労働新聞)、「民族自主の原則は祖国統一偉業の生命線」(29日、労働新聞)と同様の配信が続いた。

 先月に配信された9回の論調も全て統一問題に関する内容で、そこでも「わが民族」という言葉が頻繁に使われていた。

 新政権に直接言及した配信は未だなく、発足を正式に伝える内容も配信されていない。

 ニューヨーク・フィルの平壌初公演が行われた。米国歌「星条旗」の演奏が生中継を通じて朝鮮国内に配信されたことを思うと、何とも形容しがたい感慨に包まれ、思わず息を呑んだ。

 そう遠くない将来、2月26日にどんな意義が付与されるのかは未知数だが、東アジア新時代の幕開けを告げる暁鐘となることに間違いはないだろう。

 一方、日本のマスコミは相変わらず「米朝融和失速」を「既成事実化」しようと躍起になっている。今回の公演を報じる際も、「雪解け演出」「陰に政治的な思惑」といった野暮な邪推が目についた。

 音楽は音楽である。静かに、素直に、傾聴すればいい。外野の雑音をわざわざ拾って、五線譜に染みを落とす必要はないだろう。

 甘美で優雅な旋律は、民族を越え、政治を越え、対立を越えて全世界に届く。国境は存在しない。心に響く音色に胸を震わす人々がいるだけである。

 かくありたいと願う。(韓昌健記者)

[朝鮮新報 2008.3.7]