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「延長拒否する決断を」 各界の人士がコメント

 日本政府の対朝鮮経済制裁の期限が4月13日に迫るなか、日本の各界人士らが在日朝鮮人弾圧の中止、制裁解除および国交正常化交渉再開を求める声をあげている。寄せられたコメントの一部を紹介する。

吉田康彦(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授)

 拉致被害者家族が一縷の望みを託して肉親の生存を願い制裁を叫ぶ気持ちはわかるが、日本政府までが彼らと一体になって経済制裁を発動、さらに法の厳格適用と称して拉致とは何の関係もない在日朝鮮人を弾圧、彼らの生活を圧迫しているのはまさに「八つ当たり」以外の何ものでもない。

 世論調査によれば、日本国民の7割は制裁を支持しているが、「それで拉致問題が解決すると思うか」という設問には、なんと8割が「解決するとは思わない」と答えている。矛盾もはなはだしい。その根底には、日本人が朝鮮人を拉致しても許されるが、朝鮮人が日本人を拉致するのは絶対に許さないという人権意識の欠如、さらには朝鮮民族蔑視がある。

 国交正常化交渉をすみやかに再開し、日本政府が日朝平壌宣言で約束した過去の清算を履行するプロセスで、双方が受け入れ可能な解決策を探るべきだ。それ以外の選択肢はない。

 日本政府がブッシュ政権に対し、「テロ支援国家」指定を解除しないよう哀願し、4月13日以降も制裁を延長することは、朝鮮半島非核化が実現しなくてよいという意思表示をすることを意味する。その背後には、これを口実に日本の核武装を企てる極右勢力が存在する。

浅野健一(同志社大学教授)

 日本の極右勢力は総連の債務問題を悪用し、総連中央会館の土地と建物を奪おうとしている。話し合いにるよ協議を拒否して強制競売まで企んでいる。

 総連は在日朝鮮人の権利擁護・文化継承などの拠点であり、朝鮮と日本との間に国交がない現在、朝鮮の大使館(代表部)の役割を果たしている。

 日本政府と国民は総連に対しさまざまな方法で支援すべきであるのに、公安警察などを動員して非人道的で国際人権規約に違反した弾圧を繰り返している。

 国連憲章、人権規約に違反する「制裁措置」でもっとも苦しむのは、在日朝鮮人の高齢者、障がい者、子どもたちらのいわゆる弱者である。

 小泉純一郎首相(当時)は2004年の総連大会に寄せたメッセージで、在日朝鮮人に対する差別の解消に努めると表明した。首相の公約を守るなら、総連への政治弾圧を即刻止めるべきである。

 日本の企業メディアは、「拉致」写真展を展開し、公安警察情報を垂れ流し、日本国民の間に排外主義をあおっている。「拉致」「ミサイル・核」だけを大きく報道し、日朝国交正常化と朝鮮の統一を妨害してきた。

 福田政権は、安倍政権の東北アジア政策を変更すると表明していたはずだが立ち往生している。

 福田首相は制裁措置の延長を拒否する政治決断をし、総連弾圧を止め、平壌宣言の精神に立ち戻るべきだ。宣言に基づいて正常化するために、日本からの制裁の解除は最低限の条件であろう。

北川広和(「日韓分析」編集人)

 日本政府は総連から中央本部をはじめ各都道府県の土地・建物を奪おうとしている。「万景峰92」号の入港禁止措置により、在日朝鮮人の人権と生活権が踏みにじられている。日本政府にこうした暴挙をただちに止めさせることは、良識あるすべての日本人の責務だ。

 私たちにとって必要なのは、在日朝鮮人弾圧への反対運動を巻き起こすとともに、「共和国の言葉で書かれた声明」を一般の日本人にどうわかりやすく説明できるかだと思う。たんに声明を「日本の言葉」に置き直すのではなく、日本人の立場に立って説明できるようにする必要がある。

 そのためには、日本人としてなぜ一般の在日朝鮮人だけでなく総連への弾圧にも反対しなければならないのか、一人ひとりが日朝の歴史を学ぶとともに、喫緊の朝鮮半島情勢も理解することを通して説明できるようにしなければならない。

野田峯雄(ジャーナリスト)

 過去の大罪の清算を完全に放棄したまま、あまつさえ最近はそれを美化すらしつつ、勝手きわまりない思考と形で他国を敵視している行為(言動)、加えるに在日朝鮮人に対していま犯している数々の人権侵害行為を即刻やめさせる必要がある。明確な転換が必要だ。自ら、今日までのすべての狂った言動を清算することにしか日本の活路はないと強く考える。

伊藤孝司(フォトジャーナリスト)

 朝鮮に対して掘った落とし穴に自らが落ち、そこから抜け出せないのが今の日本政府の姿だ。無為無策の福田政権は、中断している朝鮮との対話再開や関係改善のために何もできずにいる。そればかりか、安倍前政権による異常な朝鮮敵視政策を軌道修正する力さえない。そのため、総連中央会館取り上げなどの総連弾圧と朝鮮への経済制裁をそのまま続けている。

 こうした日本政府による朝鮮と総連への極端で偏屈な敵視政策は、日本にとって何の成果ももたらしておらず、そればかりか日本外交の国際的信用度を著しく落としている。日朝間の諸問題を解決しようとするなら、総連弾圧と経済制裁をやめる必要があるだろう。

[朝鮮新報 2008.4.11]