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対決の局面続く北南関係 李明博政権への根強い不信感

対話中断、民間交流にも影響

 北南関係の対決状態が続いている。南朝鮮で李明博新政権の発足後、当局間対話と接触は中断し、民間レベルの交流事業も滞っている。昨年12月の大統領選挙後から2月の新政権発足後にいたるまで、北側は「わが民族同士」の固守と6.15共同宣言、10.4宣言の履行をたびたび南側に求めてきた。しかし、李政権の「対米関係優先」「反北対決」的な性格が明らかになるにつれて、北側は近年にない強硬な政権批判を展開している。

性格あらわに

 李政権への言及を控えていた北側は3月6日に発表された祖国平和統一委員会のスポークスマン談話を通じて、同政権を初めて「保守執権勢力」「独裁政権の末えい」と位置づけた。

 その後の3月26日、南朝鮮軍合同参謀本部議長は国会人事聴聞会で北側の「核脅威」について言及し、必要な場合には北側の核基地に対して精密誘導兵器による「先制攻撃」を加えると発言。北南将官級軍事会談の北側代表団団長はすぐさま南側首席代表に通知文を送付し、同発言を「北南関係史にかつてなかった最も重大な挑戦であり、北側に対する公開的な宣戦布告にほかならない」と強く非難した。

 「先制攻撃」発言を機に、北南関係の緊張状態は一気に高まった。北側は南側関係者の軍事境界線通過を全面遮断する措置を講じた。

 「先制攻撃」発言に対する北側の見解は、「偶然の失言ではなく、現南側当局の対北政策を代弁したもの」(朝鮮中央通信が3月30日配信した軍事論評員の文)というものだ。

 これを皮切りに北側は、各種メディアを総動員して李明博政権に対する大々的な批判を続けている。

 北側が「反北対決」「親米事大」と指摘する李政権の性格が如実に表れたのが、4月の訪米、訪日だった。

 訪米期間中(14〜19日)、李大統領は米国側と「21世紀戦略的同盟関係」を構築することで合意。青瓦台やハンナラ党は李大統領がキャンプデービットに招かれブッシュ大統領と和やかに会談するパフォーマンスが演出されたことで、「実用外交の出発点」「米国との関係強化」などと諸手を挙げて訪米を評価した。

 しかし北側は今回の訪米、訪日を「屈辱的な売国行脚」と酷評し、これを機に対南非難をさらにエスカレートさせている。

 李大統領が訪米中に明らかにした南北連絡事務所の相互設置案は、正式提案前に北側に一蹴された。

 「対北経済協力4原則」に対する評価も端的だ。4原則中の「非核化進展に伴う段階的支援」は、李大統領が掲げる「非核・開放・3000」構想と軌を一にするものだといえる。段階的支援は、北側の行動に応じて経済協力の速度と段階を調節するという一種の相互主義的な方針で、以前から北側が批判していたものだ。

内外の批判集中

 李明博政権は北南関係のみならず、経済など国内問題においても失政が相次ぎ、南の内部でも批判の矢面に立たされている。

 米国産牛肉の段階的輸入再開決定に対して2、3の両日、ソウル中心部で1万人規模の抗議集会が開かれたほか、インターネット上でも李大統領を「米国の言いなり」などと批判する動きが広まっている。

 李大統領は訪米期間中に自らを南朝鮮の「最高経営責任者(CEO)」とアピールし外資誘致を呼びかけたが、経済発展の必須条件である北南関係の安定化を自身の対北政策によって否定するという自縄自縛に陥っている。

 また、政府高官の汚職疑惑が相次いで伝えられるなど政権内部基盤の弱体化も顕著だ。

 北南関係における対決の構図は今回の米・日訪問外交を機により鮮明になりつつある。メディアを通じて李政権の対米従属、反北対決的な姿勢に対する非難を続ける北側の姿勢は変わりない。

 当局間関係の悪化のあおりを受けて、民間レベルの交流にも暗雲が立ち込めている。

 2001年から開かれてきた北南メーデー記念行事が、今回初めて中止になった。行事は当初、4月29日から5月2日まで平壌での開催を予定していたが、北側の朝鮮職業総同盟が行事開催を拒否する立場を南の民主労総と韓国労総側に伝えた。既存の対北政策を覆し対米従属を強める李明博政権に対する北側の不満が根底にあることは間違いない。

 また、南朝鮮統一部は北南青年団体代表者会議(4月26〜28日、金剛山)の参加申請者42人中8人の北側訪問を、「国家安全保障、公共秩序、公共福利を阻害する憂慮」などを口実に不許可とした。

 今後、各分野の会合や部門別交流が予定されている。6.15共同宣言発表8周年記念の共同行事もソウルで開催されることになっているが、開催は不透明な状態だ。(李相英記者)

[朝鮮新報 2008.5.9]