top_rogo.gif (16396 bytes)

南朝鮮各地で大規模集会 広がる米国産牛肉反対の声

 南朝鮮でBSE(牛海綿状脳症)の危険性がある米国産牛肉の輸入に反対する声が高まっている。5月に入り、李明博政権の米国産牛肉輸入方針に抗議する市民らの大小さまざまなキャンドル集会が連日、南朝鮮の各地で開催されている。

妥協を非難

17日、ソウル清渓広場で開かれた米国産牛肉輸入反対キャンドル集会 [写真=統一ニュース]

 17日にはソウルをはじめ南朝鮮の12の地域・36の会場でキャンドル集会が行われた。

 ソウル市内の清渓広場で開かれた集会には、主催者側発表で5万人にのぼる各階層の市民が集まった。参加者らは「BSEの危険性がある牛肉輸入反対」のスローガンを叫びながら、「国民の健康と安全のために最善を尽くすのが政府の役目。米国との牛肉輸入協議の合意を全面無効にしろ!」などと主張した。

 このほかにも、汝矣島では市民3500人余りが参加し米国産牛肉輸入反対大会を開いた。明洞や徳寿宮前でも李明博政権の牛肉輸入措置や教育政策に反対するイベントが行われた。

 キャンドル集会は「米国産牛肉の全面輸入に反対する国民対策会議」が主催している。1700あまりの市民団体、インターネットサークルが参加する「国民対策会議」は、▼BSE感染の危険性がある牛肉の輸入反対、米国との再協議▼李明博大統領の公開的な謝罪▼BSE予防に関する特別法の制定などの要求事項を掲げている。

 米国産牛肉の輸入問題をめぐる市民の抗議行動は、4月に行われた李明博大統領の米国訪問がきっかけとなった。

 李大統領とブッシュ大統領との首脳会談直前の18日、南朝鮮当局は米国との牛肉輸入問題に関する協議の妥結を電撃的に発表した。充分な情報公開と説得のプロセスを省いたまま性急に妥結した今回の協議に対して、「国民の生命と健康を訪米の手土産として捧げた屈辱外交、朝貢外交」といった激しい非難が巻き起こった。

 「21世紀戦略的同盟関係」の構築などの自身の訪米成果を自画自賛した李明博大統領だったが、帰国するやいなや世論の猛烈な非難を浴びた。

 米国産牛肉の主な輸入国の中で、南朝鮮が検疫基準に関する合意を最も米国側に有利な条件で締結し、牛肉の輸入過程で行使すべき検疫権を事実上放棄したことも内部資料を通じて明らかになった。

中高生が主役に

 キャンドル集会には各階層から幅広い年齢層が参加している。なかでも、中・高校生ら10代の青少年が多数参加しているのが特徴だ。

 米国産牛肉輸入反対の動きが広まる一方で、保守勢力は市民らの抗議行動に「背後勢力」の存在を指摘するなど、旧態依然の左右イデオロギー論を展開し問題の本質を覆い隠そうとしている。とくに「朝、中、東」(朝鮮日報、中央日報、東亜日報)と呼ばれる保守系メディアは、青少年の積極的な集会参加に対して「未熟な判断力によって情報に惑わされ操られている」といった論調を展開している。

 また、警察当局もキャンドル集会に対する規制を強化している。集会に参加した学生らが通う学校に押しかけ捜査活動を行う事態も起こった。

 さらには、「最近のキャンドル集会は文化行事の範囲を逸脱した不法集会と判断される」として、主催者に対して逮捕などの強硬な措置で臨む方針を明らかにしている。

 これに対して、若い世代の参加者らは「背後勢力が存在するという当局の主張は青少年を愚弄するもの」「当局が謝罪しない場合、集会に参加する若者は増え続ける」と非難の声を上げている。(英)

[朝鮮新報 2008.5.21]