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朝鮮の論調 08年 5月

 5月は朝米間で活発な動きが見られた。米国務省のソン・キム朝鮮部長が先月の米核専門家代表団(22〜24日)に続いて8〜10日まで訪朝。米国務省が明らかにしたところによると、寧辺の核施設稼働記録などに関する資料が朝鮮側から提供されたという。また、5〜8日には米国食糧協議代表団が訪朝し、その後、朝鮮側への50万トンの食糧支援が公式に発表された。27〜28日にかけては6者会談の朝米団長が北京で協議を行った。一方、日本では22日に超党派国会議員らによる日朝国交正常化推進議員連盟が発足した。

−対米 食糧支援「理解と信頼の増進に寄与」

 8日発の朝鮮中央通信は、朝米間で「人道主義的食糧提供問題に関する協議が行われた」事実を報じた。続く17日には、米国の朝鮮に対する食糧提供決定の内容を報じた。その中で、「米政府の食糧提供は、不足する食糧事情の解決に一定の役に立つであろうし、朝米両国人民間の理解と信頼の増進にも寄与するであろう」と指摘した。

 一方では、依然として米国の挑発的な軍事動向への警戒を忘れていない。

 6日には、労働新聞が米原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備予定を非難する記事を掲載した。記事は、「現実が物語るように、米国は言葉とは完全に相反する行動をとっている」「朝鮮半島を足掛かりにして、侵略的対アジア戦略を実現しようとするのが米国の一貫した野望である」などと糾弾した。

 労働新聞21日付論評は、「米国は朝鮮を軍事的に侵略しないであろうと繰り返し表明してきた。これが真実ならば、米国は朝鮮を威嚇する軍事行動を止めるべきである。しかし、彼らは表面では笑みを浮かべ、裏では朝鮮を攻撃するための刀を研いでいる」と非難し、「米国は、本土で無人飛行機を操縦して他国を攻撃すれば自分たちは無事だと打算しているようだが、それは拙い考えだ。長距離打撃能力は米国だけが持っているものではない」と警告した。

 31日には米国の「自由および民主化推進報告書」を非難する外務省代弁人の答弁を朝鮮中央通信が配信した。同代弁人は、報告書が朝鮮を「高度に軍事化された社会」「独裁国家」などとしたことに触れ、「許しがたい挑発であり対話の相手に対する重大な冒とく」であるとしたうえで、「米国側のこうした行為は、彼らが提唱する『核問題の平和的解決』と『米朝関係改善』というものが果たして真意であるか疑わざるをえなくしている」と批判した。

 ソン・キム部長訪朝と北京での朝米協議に関する報道はなかった。

−対日 「崖っぷちに立つ福田内閣」

 「独島領有権」主張や過去清算問題に対する批判内容が多数を占めた。

 労働新聞8日付の記事は、「この半世紀、日本には数十回におよぶ政権交代があったが、どの執権勢力も過去の日帝の蛮行を真剣に振り返って誠実に反省したおぼえがない」と指摘し、「日本が(過去清算に対する)時代の要求を拒否するのは、犯罪的過去を再現しようとする本心を持っているからだ」と非難した。

 14日にも自衛隊の海外派遣を非難する記事が労働新聞に掲載された。記事は「自衛隊のイラク派兵が徹頭徹尾、海外膨張のための予備作戦であることは何を持ってしても隠せない」と糾弾した。

 民主朝鮮21日付は、日帝が犯した過去の蛮行を厳しく非難し、「世界的に過去犯罪に対して認定も謝罪も賠償もしていないのは唯一、日本だけである」と強調した。

 28日には、福田内閣の支持率急落に言及したコラムが労働新聞に掲載された。コラムは福田政権を指して「崖っぷちに立っている」と評し、「民心から『死刑宣告』を受けたに等しい」と断じた。そして、「1年にも満たない現内閣は、先任安倍短命内閣の悲劇的な前轍をそのまま踏んでいる」と指摘した。

 日朝国交正常化推進議員連盟発足に言及する報道はなかった。

−対南 李明博大統領は「対決狂信者」

 先月に続いて李明博政権を厳しく非難する論調が目立った。

 とくに、李明博大統領の訪米を「朝貢外交」「屈辱行脚」と糾弾する内容が多かった。李大統領を指すときも「民族の和解と協力の妨害者」「対決狂信者」などと評する厳しい文面が目についた。

 労働新聞2日付は「時事論評員」による文章を掲載、今回の李大統領訪米を「民族の尊厳と利益を外国勢力に売りわたし、南朝鮮を対米隷属に深く陥れて米国との侵略的結託を強化した最も醜悪な事大売国行脚、戦争行脚」と厳しく糾弾した。

 労働新聞8日付は、南朝鮮の武力増強に懸念を示し、「南朝鮮好戦勢力の武力増強策動は、平和統一を志向する朝鮮に対する許しがたい挑戦であり、朝鮮半島情勢を危険な戦争局面へと向かわせる反民族的、反平和的妄動である」と批判した。

 また同日、「李明博逆徒の軍事的対決騒動の真相を暴く」と題する軍事評論員の文も朝鮮中央通信によって配信され、「李明博逆徒と傀儡軍部好戦勢力らの軍事的対決騒動は、情勢を意図的に緊張させ、6.15共同宣言とその実践綱領である10.4宣言履行を妨げている」と糾弾した。

 24日には6.15共同宣言と10.4宣言を否定した「統一教育指針書」の全面撤回を要求する「祖平統の報道」が配信された。祖平統はその中で、「6.15共同宣言と10.4宣言に一貫している『わが民族同士』理念の正当性と生活力は、この8年間で余すところなく確証された」と強調した。

 少し風向きが変わったかもしれない。

 朝米融和ムードに焦りを覚えたのか、日本の超党派国会議員らによる日朝国交正常化推進議員連盟が発足した。最終的には、100人ほどが名を連ねるという。

 「北朝鮮バッシング」を演出してきた官邸とマスコミも足並がそろわない。「拉致問題」に関する「報道」を巡って、官房長官が火消しに走った一幕は記憶に新しい。

 6者プロセスは遠からず佳境に入る。ますます孤立を深めるなか、それでも日本はまだまだ「拉致問題」に固執するのか。あるいはどのタイミングで「幕引き」を図るのか。

 どのみち、自ら蒔いた種である。刈り取るのもまた、自身に他ならない。(韓昌健記者)

[朝鮮新報 2008.6.4]